輝きが向こう側へ!

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【ネタバレ・感想】明石家さんまプロデュースの看板に偽りなし『漁港の肉子ちゃん』

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タイトル:漁港の肉子ちゃん
原作:西加奈子
企画・プロデュース:明石家さんま
監督:渡辺歩 脚本:大島里美 音楽:村松崇継
キャラクターデザイン・総作画監督:小西賢一
キャスト:肉子ちゃん/大竹しのぶ、キクコ/Cocomi 他
配給:アスミック・エース 製作:吉本興業
公開日:2021年6月11日 上映時間:1時間37分

ダメ男にだまされてばかりの肉子ちゃんと、大人びた小学5年生のキクコという正反対の母娘。肉子ちゃんの恋が終わるたびに各地を放浪していた2人は、漁港の船に移り住む。キクコは地元の小学校に転入しどんどんなじんでいくが、肉子ちゃんは思ったことをすぐ口に出すため町中で噂されていた。肉子ちゃんの次の恋が終われば、また町を出て行かなければならない。そんな不安がよぎるなか、親子の大きな秘密が明らかになる。

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舞台挨拶が当たっちゃったので東京へ

 『漁港の肉子ちゃん』を舞台挨拶付上映(TOHOシネマズ六本木ヒルズ)で観てきました。なんとなく入ってきたこの作品の情報と、監督を務める渡辺歩監督との相性が良いのではないのかと、そもそも気になっていた作品。舞台挨拶が行われるとのことで、企画・プロデュースを務めた明石家さんまさんを始めとした出演者からして、当たらないだろうなと思いつつ申し込んだところ、当たってしまったので東京へとやってきたのでした。

 原作は同名の小説で、この作品を気に入ったさんまさんがアニメ映画化を企画したのがそもそもの流れで、完成までに5年の歳月を費やしたとのこと。『STUDIO 4℃』製作で、同じ製作会社が作った『えんとつ町のプペル』が引き合いに出されがちのようですが、実際見ての感想は。


ドタバタコメディかと思いきや、日常を子供の視点で描く内容

  タイトルが『漁港の肉子ちゃん』なので、この肉子ちゃんを主役とした話かと思いきや、その娘のキクコちゃんの物語。言ってしまえば、『ドラえもん』の主役がのび太くんであることと同じです。肉子ちゃんがかなり癖のあるお人好しなオバちゃんなのですが、ユーモアはあれどクールよりなキクコちゃんが主役なので、個人的には思っていたよりもドタバタコメディにはならず、見やすかったでした。原作小説を読んでいないので、勝手なイメージとして、親に反発する思春期の娘の話かと思っていたのですが、そういった要素は少なく、なんだかんだあって漁港に住むことになった親子の日常を描いたお話でした。その中には、学校での面倒くさい人間関係や、変顔をしてしまう発達障害の子との話など、暗い話題になりがちな要素を入れながら、子供の視点で話が進んでいきます。大人目線だと、発達障害の子と周りの子との付き合い方はどうなっているんだろうと考えてしまいがちですが、子供達の間では、当たり前の事として受け入れられていて、要らないことを考えてしまったなと反省。

 基本的には親子の日常が描かれていたのですが、回想シーンとして、肉子ちゃんと、キクコちゃんの生みの親である「みう」との話が挿入されました。みうを演じるのが吉岡里帆さん。『空の青さを知る人よ』の頃よりも演技が上手くなっていて、この2人を掛け合いをもうちょっと聞いていたかったなと思うぐらいでした。

 全体を通しての感想。実際どうだかは分からないですが、1本の映画尺とする為に、何かを端折っている感じがしました。1本の映画としての物語の展開として流れの不味さが若干気になり、話の波をうまくつけて欲しかったかなと思うも、アニメーションとしても物語としても良作である事には間違いありません。終盤での病室のシーン。かつて『ドラえもん』の感動作を担当されてきた渡辺歩さん。無償の愛を表現するのに持って来いな監督の演出だけあって、こちらが泣きたくなくても泣かされるのが卑怯だなと、涙を浮かべながらつくづく思うのでありました。

 

肉子ちゃんとキクコちゃんのキャスティング

 肉子ちゃん。真ん丸な関西弁のオバちゃんを大竹しのぶさんが演じているのですが、元夫であるさんまさんがキャスティングした訳ではないそうです。とはいえ、彼女以外だとなかなかキャスティングは難しいのでは。ヘタするとオバちゃんらしさを全面に出しすぎてしまうところを、オバちゃんらしさはありつつも、嫌味がないチャーミングな演技で答えた大竹さんは、良い塩梅だったのではないでしょうか。


 キクコちゃん。肉子ちゃんとは全く似ていないベリーショートの女の子を演じたのは、Cocomiさん。木村拓哉さんと工藤静香さんの長女。女優さんではなくフルート奏者の方で、本編中で流れる音楽でもフルートを演奏されています。女優さんではないので、演技は本職ではないのでしょうが、物語も終盤辺りとなると、演技が活き活きとしてきたので、経験を積めばモノになりそうな予感を感じさせてくれました。


 

明石家さんまプロデュースの看板に偽りなし

  有名人がプロデュースする作品は、名前だけ貸しているようなパターンと、ちゃんと作品に参加しているパターンとがありますが、この作品については後者。どういう形にしていくのかと監督とディスカッションを何度も行い、それを映像に反映させていったのだろうと、節々に入るツッコミや、好きそうな画作りからして、見れば分かるレベルでそうされていました。ちょっと前に出過ぎかなと思わなくないものの、『明石家さんまがプロデュース』の看板に偽りなしです。それにしても、お見舞いのシーンでの映画『いこかもどろか』ネタは、古のさんま・しのぶカップリング厨しか分からないのでは。(何故、自分は分かったのか?)


 

おまけ(舞台挨拶の感想)

 上映後に舞台挨拶の準備が。ステージ上には飛沫対策のアクリル板が設置され、配信用の撮影スタッフとプレスの方々がゾロゾロと入場。何度か舞台挨拶を経験していますが、この大人数は初めての経験。前方の席のほとんどはプレスの方々の席となっていまして、さらには1席間隔で座席を空けていましたので、この舞台挨拶に参加できたのは250名弱ぐらいだったのでは。肝心の舞台挨拶の内容はというと、ノーカットでYouTubeに動画があがっていますので、興味のある方はそちらを見ていただければと思います。



 冒頭、プロデューサーという立ち位置なので、控えめに行くと話されていたさんまさんでしたが、もちろん大人しくするはずもなく、飛沫の刃が炸裂するのでした。(ご時世的にギリギリを攻めたネタである…)それにしても、このお笑いモンスターと声優さんの掛け合いを観れられるというのも時代の流れだなと。かつて、小野坂昌也さんや岩田光央さん辺りが作った流れになるのか、声優さんが出演するラジオ番組で面白要素が当たり前のものになってからうん十年。花江さんと下野さんの掛け合いに、さんまさんが笑うというのを目の当たりにするとは、こんな未来はさすがに予想できませんでした。


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