輝きが向こう側へ!

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思いついたことをそのまま記事にしている何の脈略もないブログです。アニメやゲームの感想等を掲載。

【感想】今改めて語られる『声優Premium ~90年代女性声優ブームの光と影~』

声優Premium[プレミアム] (綜合ムック)

声優Premium[プレミアム] (綜合ムック)

 


 『声優Premium』という本を読みましたのでその感想をまとめてみたいと思います。タイトルだけでは内容が分かりづらいのですが、表紙にある「90年代女性声優ブームの光と影」が主題で、そのブームの渦中にいた女性声優さんのインタビュー記事が収録されていました。90年代中盤から末期にかけてのブームを追った内容ですので、当時を知るものにとっては懐かしく、00年代以降、堀江由衣さん・田村ゆかりさん・水樹奈々さん…といった方々を知るものにとっては、その活躍の基盤が作られてきた過程が知れて、興味深く感じるのではないでしょうか。

 「90年代女性声優ブームの光と影」。タイトルからして、ゴシップ誌のサブタイトルかと思ってしまいますし、某事件を思い出してしまうのですが、実際に読んでみましたらそういうことではないのが分かります。95年辺りからアニメに関連したラジオ番組『アニラジ』が増え始め、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』等のヒットにより、声優の注目度が上がっていったのが90年代の女性声優ブーム。そのブームの中で活躍されていた声優さん達がどういう想いでいたのかが窺い知れる内容となっていました。当時からラジオで話されていた内容ですので、「そうだったのか!」という発見ではなく、「そうだったよね」という感想です。それは当時から素の言葉で話されていたことの表れでしょう。


 この本の構成を大きく分けますと4つに分かれています。

 【90年代の女性声優ブームについて】
  ・林原めぐみさん(声優とアニメ)
  ・椎名へきるさん(声優とアーティスト)
  ・國府田マリ子さん(声優とラジオ)

 【[特集]スタッフたちが見た声優ブーム】
  ・大月俊倫さん(キングレコード専務取締役)
  ・おたっきぃ佐々木さん(元ラジオディレクター)
  ・声優マスコミ覆面座談会(元声優雑誌編集者)

 【[特集]それぞれの90年代】
  ・緒方恵美
  ・宮村優子
  ・金月真美
  ・井上喜久子

 【巻末インタビュー】
  ・日髙のり子


 90年代を代表する女性声優3人のインタビューから始まります。読み始め、林原さんの一言目に水谷優子さんの名前が出てきて、読んだタイミング的にドキッとさせられました。声優ブームとはという質問に対して、自身のことではなく水谷さんや川村万梨阿さんの名前を挙げられたところからして、ブームの真っ只中の頃ではなく、その前に見ていた先輩たちの活躍する姿がまず頭に浮かばれた様です。インタビューを読み進めていきますと伝わってくるのは、林原さんは自分をしっかり持っているということ。そして、だからこそブームに振り回されなかったこと。後のページに掲載されている大月さんのインタビューと併せて読むと改めて思うのですが、自己プロデュース能力に長けている方なので、時流に流されずに人生を歩んでこられているのが良く分かります。一方、ブームで一時は脚光を浴びて、今では…という方についても語られていて、中々考えさせられる内容でした。個人的にこんな所も触れるのかと思ったのが、格闘家の佐竹雅昭さんとのラジオ番組『佐竹雅昭の覇王塾』について。佐竹さんがサブカルに詳しい方であったので、マニアックな話が聴ける番組でしたが、林原さんはこの番組でアシスタントを務められていました。今になってこの番組の話題が挙がるとは面白いものです。

 今でこそ声優さんのアーティストデビューが当たり前となりましたが、その先駆けと言える存在が椎名へきるさんです。声優としては初の武道館コンサート開催やミュージックステーション出演等、多大な功績を残してきたことで、現在の声優アーティストの活躍の土台を作ってきたと言えるでしょう。そんな彼女がデビュー当時からアーティストとして活躍するまでのエピソードが語られていました。元々彼女は声優の仕事がしたかったものの、歌手としての需要が高まったことで、アーティストとしての活動に専念していた印象がありました。インタビューの中にも、自分には向いていないという葛藤がありながらも、歌手活動を真摯に真っ当したい想いが語られていました。歌手活動が忙しくなり声優としての仕事の時間に皆と合わせられず、抜き撮りになってしまう状況。若手声優であった彼女にとっては、それが許される環境になかったことについても語られていました。今であれば、抜き撮りも致し方なしと許される状況にあるのでしょうが、彼女が活躍されていた時代はまだそうではなかったのだと気付かされました。

 これまでの2人もラジオ番組を長年担当されていますが、ラジオという側面からマリ姉こと國府田マリ子さんが代表してインタビューに答えられていました。真剣にラジオ番組に取り組む姿勢が読み取れる内容で、それは昔ラジオを聴いていた時から感じ取っていた内容でもありました。彼女の人気に火が付いたラジオ番組『ツインビーPARADISE』についての話では、リスナー同士を繋げる合言葉であったり、所持品(ベル)の話題が。そういったアナログな文化もあったなと懐かしく感じました。今であればニコ生にコメントを打ったり、SNSで感想を共有したりできますが、そういうことが簡単にできなかった時代。そういう時代だからこそ感じられた魅力が過去にはありました。昔であれば声優さんにメッセージを伝えたい場合は、ラジオ番組や事務所宛に手紙を送るぐらいであったと思うのですが、今ではSNSで直接伝えられてしまう。距離感の近さはファンにとってうれしいものですが、距離感が近いからこそ起こり得るトラブルも。個人的にはある程度の距離感があってこその、より良いファンとの関係性が保たれると思うのですが、そういう考えは今ではもう古いのかもと思ったりもします。


 本誌には『アイドル声優』という言葉が多く登場しますが、巻末にはその『アイドル声優』について、日高のり子さんへのインタビューが掲載されています。日高さんはアイドルから声優への転進組。人前に出て歌って踊るという素養があったことで、これまでの裏方に徹した声優とは違った形で活躍されてきました。最近では『ラブライブ!』や『Wake Up, Girls!』といったアイドルアニメに出演されていますし、自身でも『backdrops』というアイドルユニットで活躍中。過去から現在、『アイドル声優』を語るにはベストな人選だったのでは。これまでアニメ関連のラジオ番組に携われてるだけあって知識があり、さらには自身の経験に基づいて丁寧にお話しされていて、さすがだなと思うばかりでした。『Wake Up, Girls!』について、この作品でデビューした7人の女の子たちを、これまでの自分と照らし合わせて見られていた点は大変興味深かったでした。『タッチ』の頃には三ツ矢さん(グレーゾーンさん)に厳しく演技指導されていた様ですから、その頃の自分が思い出されるのでしょう。「めぐ(林原さん)たちの時代とも、また違う」と、声優とアイドル、どちらかで迷うの時代ではなく、両方を成立させる時代だという話に、本当に今時の声優さんは大変だなと思うのでした。


 長くなるのでかなり感想を端折ってしまいましたが、それだけ読みごたえのある内容でした。本ですので『読みごたえ』という言葉を使いましたが、実際には『聴きごたえ』が正しいかもしれません。本を読み終えたのにも拘らず、本を読んだという感想ではなく、ラジオを聴いたという感想に近いものがありました。かつて90年代の声優ブームに触れた方には懐かしく、そのブームに触れてなくても、現在活躍されている若手の声優さんが憧れた方々の想いが知れる一冊でした。

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