輝きが向こう側へ!

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【ネタバレ・感想】プレミア上映会で鑑賞『機動戦士ガンダム THE ORIGIN IV 運命の前夜』

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■イベント詳細

 機動戦士ガンダム THE ORIGIN 赤の旋律 ―運命の前夜 プレミア上映会―
 開催日:2016/11/05 開場:17:30 開演:18:30
 会場:東京オペラシティ コンサートホール
 出演:安彦良和、池田秀一、早見沙織、渡辺明乃、喜山茂雄、潘めぐみ、
    森口博子、森雄一

 ・出演者感想まとめ


 『シャア・セイラ編』が4作目にして完結。これまでの3作については舞台挨拶付きの上映で観てきたのですが、完結ということで、先行上映となるプレミア上映会に参加することにしました。(安彦監督、池田さんは関東でないとお目にかかる機会がないので)

 会場は東京オペラシティコンサートホール。ロビーでは、原画の展示や、物販が行われていました。写真撮影はNGとのことでしたので、何も撮らずに場内へ。ガンダムのファンクラブに入会していれば前方の座席であったのでしょうが、未入会の自分は1階席ながら、かなり後方の座席。しかしながら、双眼鏡を持っていましたので、遠くからでもステージの様子を確認することができました。開演時間よりも早くに入場したのですが、開演前にピアノ・ヴァイオリン・チェロの3重奏でこれまでの主題歌をアレンジされたものが演奏されました。調整とかではなく、もう始まったのかと思ってしまうほど本番さながらの演奏。これには、早く入っていて正解だったなと、しみじみしながら演奏を楽しんだのでした。

 開演時間に。キャストの皆さんが登壇し、朗読劇が始まりました。劇の内容はこれまでのI~IIIの内容を振り返る内容と、今回はララァ役の早見さんがいらっしゃったので、「白いモビルスーツが勝つわ」とアムロの活躍を予言した名シーンを演じられました。天吊りのスクリーンには、映像ではなく1枚絵が映されていました。劇の合間合間に生演奏が挟まるという、なんとも贅沢なもの。このコンサートホールには大きなパイプオルガンが設置されているのですが、そのオルガンでガンダムのBGM『人工の大地』(永井一郎さんによるオープニングナレーションの裏で流れている印象的な曲)が演奏されました。なんと厳かなことか。

 この朗読パートで印象に残ったのは、潘めぐみさん。幼い頃のアルテイシアの演技と、セイラ・マスとしてのモノローグ。そのギャップに関してもそうなのですが、大人の女性として読まれたモノローグが、お母さん(潘恵子さん)ソックリなことに驚き。親の演技を聞いてきた、教わったということもあるのでしょうが、声だけでなく読み方がお母さんそのもので、あの凛々しくも可憐な響きが、親から子へと伝わっているのだなと感じさせるものでした。これを聞いてしまいますと、ララァ役でも良かったのではないかとも思ってしまうところでしたが、早見さんは早見さんで、役にあっていたと思いました。潘恵子さんのようなミステリアスな感じとは別の、リアリティを感じさせるララァ像を演じられていたのでは。

 朗読パートが終わり、出演者紹介へ。このとき、池田さんの両隣が早見さんと潘だったこともあって、「両手に花」と表現されていたのですが、これを聞いたキシリア役の渡辺さんが「私は…」となってしまったのでした。「迂闊だな、シャア!」


タイトル:機動戦士ガンダム THE ORIGIN IV 運命の前夜
制作会社:サンライズ
総監督:安彦良和 監督:今西隆志
キャラクターデザイン:安彦良和、ことぶきつかさ
メカニカルデザイン:カトキハジメ、山根公利、明貴美加、アストレイズ
音楽:服部隆之
キャスト:シャア/池田秀一、ララァ/早見沙織、アムロ/古谷徹、他
配給:松竹 公開日:2016年11月19日 上映時間:68分 

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宇宙世紀0077年の“暁の蜂起”のあと、シャア(声:池田秀一)は地球に向かい、カジノを渡り歩くギャンブラーが連れていた不思議な力を持つインド出身の少女、ララァ・スン(早見沙織)と出会う。一方、RX-78開発計画を推進するアムロ(古谷徹)の父テム・レイ(坂口候一)は、ジオンのモビルスーツ開発の重要人物、ミノフスキー博士(坂東尚樹)の亡命の報せを受け、月を目指す。月面のトワイライトゾーンで、人類史上初のモビルスーツの死闘が繰り広げられる。そして宇宙世紀0079年、地球から最も遠い宇宙都市サイド3はジオン公国を名乗り、地球連邦政府に独立戦争を挑む。人類が総人口の半分を失う、動乱の時代が幕を開ける。

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 いよいよ『運命の前夜』の上映。『シャア・セイラ編』完結とのことでしたが、その後の『開戦編』が含まれていますので、これまでのストーリーが完結するという作りではなく、来年秋公開の『ルウム編』に繋がるといった感じでした。途中で、シャア視点のお話から、キシリアや、アムロの父であるテム・レイ技師視点へと変わりますので、シャア目当ての方にとっては、「ええい!こんなオバサン・オジサンはどうでもいい!シャアを映せ!」となってしまうかもしれません。

 前作でも少し登場しましたが、ようやくアムロに出番が回ってきました。久しぶりに若い頃のアムロを観ましたが、幼馴染であるフラウが嘆きたくなるほどの無気力ぶりに、この頃はそうだったかと思い出したのでした。この子が後にあのシャアと対峙することになるとは驚きです。本作ではシャアとララァの出会いが描かれているだけに、後にララァが言った台詞「何故、何故なの?何故あなたはこうも戦えるの?あなたには守るべき人も守るべきものもないというのに!」が、より意味を持った台詞になるのではないかと思いました。本作を見てしまうと、どうしてもジオン側の視点になってしまうので、連邦軍側というかアムロに感情移入できなくなるのではないかとの危惧が。そこまで話が続いていればの話ですが、ここまできたら最後までやって欲しいと願うばかりです。

 アムロと同じクラスメイトとして、カイも登場。カイを演じるのはTVシリーズオリジナルキャストである古川登志夫さん。カイがカイであったので安心しました。オリジンでは、大幅にキャストが変更されてはいるのですが、オリジナルキャストが参加されていることで、TVシリーズにあった空気感が感じられるのは旧作ファンにとってうれしいポイントだと思いました。


 4作目にしてようやくモビルスーツ対モビルスーツが描かれました。シャアと黒い三連星が乗る旧ザクと、ラルが乗るブグ。対するは連邦軍のガンキャノン初期型。数では連邦軍が勝っていたのですが、ガンキャノン初期型では人型の動く砲台レベルの作りであったために、いともたやすく全滅。重々しいガンキャノンの動きでは、人の様に動くザクやブグには敵わないのでした。特に黒い三連星がやりたい放題。ラル役の喜山さんが上映後に話されていましたが、3人の荒々しい演技に乗せられて自分もそうなってしまいNGになってしまったというエピソードが語られました。さて、この初のモビルスーツ戦が契機となり、対モビルスーツ戦に主眼を置いたガンダムの開発が進むことに。ここでようやくタイトル回収されたのでした。


■安彦監督の漫談で沸く会場

 プレミア上映終了。次回予告映像はなし。安彦監督が話されていましたが、劇場公開版にはあるそうで、さらには、公開1週目と2週目では内容が違うと、本来プロデューサーが話すようなゲスイ話を、監督自ら面白そうに話され、会場を沸かしていました。話には聞いていましたが、お話好きな方だと再認識。


 安彦監督からは、ララァのオリジナルキャストである潘恵子さんに、オリジンでは「娘さんをララァ役に」と約束されていたエピソードも語られました。しかし、オーディションの結果、セイラ役を演じてもらうことになっちゃったと、面白可笑しく話されていました。そのおかげで、早見さんに出会うことができたとも、まとめられていましたが、いい加減なオヤジさんであります(笑)。


■セットリスト(全3曲)

M01:宇宙の彼方で(『機動戦士ガンダム THE ORIGIN IV』主題歌)

   宇宙の彼方で(2016/11/16)より
   作詞:森雪之丞 作曲・編曲:服部隆之
   歌:森口博子

M02:Day by Day…きっと
   宇宙の彼方で(2016/11/16)より
   作詞:森雪之丞 作曲・編曲:服部隆之
   歌:森口博子

M03:ETERNAL WIND ~ほほえみは光る風の中~
   ETERNAL WIND ~ほほえみは光る風の中~(1991/02/05)より
   作詞:西脇唯 作曲:西脇唯、緒里原洋子 編曲:門倉聡
   歌:森口博子


 森口博子さんが登場し、新曲2曲を披露。先ほど、エンディングで流れていた曲『宇宙の彼方で』を、そのままライブで聴けるとは贅沢。森口さんはこの曲のレコーディングに安彦監督が立ち会っていたことを話されまして、「アナログ時代に歌ってきた底力を感じました」と言われたそうです。褒めてはいるものの、若干失礼な言い回しが監督らしい。これまで歌ってこられたガンダムシリーズの曲についても触れられ、『機動戦士Zガンダム』、『機動戦士ガンダムF91』、そして、ジージェネについても話されていたのが個人的にうれしかったところ。ジージェネスピリッツの主題歌『もうひとつの未来』が好きなので、いつかライブで聴いてみたいものです。

 お別れの挨拶の際に、池田さんの口から締めの一言として「ジークジオン!」の一声が。急な事に対応できない方が多かったので、やり直しでもう1回「ジークジオン!!」。ザビ家の皆さんのものとは違い、やはりシャアですので、ネオジオンの決起集会な気分に。これはこれで、とてもうれしい。この「ジークジオン!」を渡辺さんもやろうとしていたそうなのですが、さすがに池田さんの後ではできないということでお流れに。キシリア様の「ジークジオン!」も聴いてみたかったでした。

 安彦監督とキャスト陣が降壇するも、森口さんだけは残ることに。ここで司会の森さんに促される形でもう1曲、『ETERNAL WIND ~ほほえみは光る風の中~』を披露。『機動戦士ガンダムF91』の主題歌です。力強さの中にぬくもりを感じさせる歌声が泣かせます。歌詞を覚えているので心の中で歌ってしまう。これまでガンダムオリジンのイベントであったはずが、自分の中でF91のイベントに様変わり。今になってF91のイベントに来られて本当に良かったでした!(違う)

 イベント終了後の帰り道、ガンダムの話をしているお子さんの声が。お父さんがガンダム好きで連れてこられたのかなと思いきや、熱く『機動戦士ガンダム サンダーボルト』について語っているではありませんか。そんな硬派なのが好きな子がいるのかと驚き。その後、マリオに扮した方たちがカートに乗っている姿を目撃し、なんだか東京って凄いなと思いながら、宿泊先のホテルへ向かうのでした。

【ネタバレ・感想】映画館を出て、改めて気付かされた70年後の日常『この世界の片隅に』

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 親が広島生まれで、自分自身も生まれは広島なので、第二次世界大戦時の広島を舞台にした作品は、他人事に思えず、あえて避けてしまうのですが、『この世界の片隅に』は、これまでのものとはアプローチが違うものではないかと思いまして、観てみる事にしました。

 

タイトル:この世界の片隅に
監督・脚本:片渕須直
キャラクターデザイン・作画監督:松原秀典
音楽:コトリンゴ
キャスト:北條すず/のん、北條周作/細谷佳正 他
配給:東京テアトル 公開日:2016年11月12日 上映時間:2時間6分

昭和19年、18歳の少女・すず(声:のん)は生まれ故郷の広島市江波を離れ、日本一の軍港のある街・呉に嫁いできた。戦争が進み様々な物が不足していく中、すずは工夫をこらして食事を作っていく。やがて日本海軍の根拠地であるため呉は何度も空襲に遭い、いつも庭先から眺めていた軍艦が燃え、街は破壊され灰燼に帰していく。すずが大切に思っていた身近なものたちが奪われていくが、日々の営みは続く。そして昭和20年の夏を迎え……。

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■『笑い』によって作品の世界に入りやすい作りに

 戦争を中心に描いている物語ではなく、主人公である『すず』という女性の日常を描いた作品。絵を描くことが好きで、のんびりとした性格。世が世ならば、ゆるふわ系で幸せに溢れた作品の主人公だったかもしれません。しかし、時代は第二次世界大戦の真っ只中。彼女の日常に戦争が介入してきたのでした。とはいえ、決して暗いだけの話ではなく、戦時中であっても、すずの、のんびりした性格から生まれた面白ハプニングが時折挟まれ、劇場に笑いが起きていました。まさかこの作品で、加藤茶さんの天秤棒芸が見られるとは思いもせず。辛くて悲しいだけでなく、日常に起こりうる『笑い』が随所に見られました。この『笑い』によって、登場人物に親近感を覚えて、作品の世界に入りやすい作りとなっています。

 戦況が過酷になるにつれて、配給が少なくなり、空襲の回数も増えていきます。すずの精神面もボロボロに。これには、この戦争に終わりがくることを知っているだけに、早く戦争が終わってくれと思いながら観ていました。そして広島に投下された原子爆弾。爆心地から離れていることもあって、きのこ雲が見えたという描写に留まっていました。祖母が瀬戸内海の島暮らしでしたので、そこからでも、きのこ雲は見えたと母親から伝え聞いた事を思い出しました。遠くからでは惨状は分からず、大きなきのこ雲が、ただただ不気味に見えていたことでしょう。

 観終わった後に、悲しさの余韻だけでなく、これからの歩みも感じさせてくれる終わり方。残酷なシーンもあるにはあるのですが、できるだけ直接的なシーンにせずに、心象描写で描かれているので、この手の作品が苦手な方でも観られるのではないかなと思います。それでも、観ていて辛いシーンがあるのは確か。しかし、非常に丁寧な作りで、歴史を伝える、当時の人たちの生活を伝える良い作品であるのも確か。積極的にはオススメできないところが難しいところであります。


■70年前の広島の街並みや人の営みを再現

 70年前の広島が舞台。当時の町並みや、人の営みをアニメで再現。もちろん、空襲でその町並みは今に残っていませんので、過去の資料や当時を知る方の声を基に再現されたものです。既に70年も経っていますので、これが正解と分かるものでもないのですが、丁寧に再現されているのだろうなと感じさせるものでした。当時の当たり前が、当たり前のこととして描かれていますので、一升瓶に棒を突っ込んで何をしているのかな?と思う方もいたのでは。これは玄米を精米しているのです。親子で観に来られた場合、お子さんが何なのかと疑問を覚えたときに、親が教えるという会話が生まれれば、当時を知れる切欠となるのだろうなと思うと同時に、親も分からないというパターンが結構あるんじゃないかとも思うのでした。遊郭については、あえて分からないと通すパターンもありそうな…。



■キャストについて

 主役の『すず』役は、のんさん。連続テレビ小説『あまちゃん』の主人公を演じられていた能年玲奈さんなのですが、その『あまちゃん』を観ていないので、彼女の演技に触れるのは、今回が初めてに近い状況。本職の声優さんが多くキャスティングされているの中で、どうなのかと思っていましたが、彼女の素朴な演技が役にとてもあっていたように感じました。単にあっているというよりは、役に入り込んでいたというか。若さを感じさせる演技になるかと思いきや、自身より年上の女性を表現できていたことに驚き。彼女の感性の良さが成せるものなのでしょうかね。彼女の今における事情はさておき、この役に成れる感性の良さは、今後も見てみたいものです。

 原作の台詞が方言であっても、作品によっては、分かりやすさ重視で方言を標準語に変えてしまうことがあるのですが、この作品は広島弁で通されています。訛りが強い台詞は、少々聞き取りづらかったでしたが、当時を正しく再現するには方言を抜きにしてしまうことはできないでしょう。キャストの中では、細谷佳正さん、新谷真弓さん、佐々木望さんが広島出身。本編中で細谷さんの声を聴いて、そういえば尾道市出身だったなと思い出し、納得のキャスティングでありました。本編とは直接関係ないところですが、京田尚子さんが、昔と変わらずおばあさん役としてお声が聴けたのが、うれしかったり。



■映画館を出て、改めて気付かされた70年後の日常

 映画を観終わり、具体的に説明できる感想が思い浮かばないまま、帰りの電車に乗るため、映画館(シネリーブル梅田)から大阪駅へと向かいました。ライトアップされて、きらびやかな大阪駅が見えてきましたら、一気にこの映画に対する想いが廻り始めました。ひとつの明かりが灯るだけで幸せを感じていた先ほどまでとは全く違う、あたり一面が光に包まれている光景に対して、「うわあああああああ!!!」と心の中で叫んでしまいました。いつの間にやら70年前にタイムスリップしていて、急に現代に戻ってきたような感覚。今という時の裕福さや平穏な日常に改めて気付かされたのでした。頭の中では分かっていても、この平和を当たり前の様に享受してしまっているということ。この気付きは、70年前をきっちりと描いていたからこそ感じられたものなのではないでしょうか。あの時代から70年後の日常に戻ったときに、ふと感じられるものがあると思います。その気付きを忘れずに。

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