輝きが向こう側へ!

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【ネタバレ・感想】原作をないがしろにしない、1+1=2にする努力『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』

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タイトル:シティーハンター THE MOVIE
     史上最香のミッション
原題:NICKY LARSON et le parfum de Cupidon
監督:フィリップ・ラショー
制作:クリストフ・セルヴォーニ、マルク・フィスツマン
脚本
フィリップ・ラショー、ジュリアン・アルッティ、
   ピエール・デュダン、ピエール・ラショー
音楽:マキシム・デプレ、ミカエル・トルディマン
キャスト:冴羽リョウ/フィリップ・ラショー、
     槇村香/エロディ・フォンタン、他
配給:アルバトロス・フィルム
公開日:2019年11月29日 上映時間:93分

ボディガードや探偵を請け負う凄腕のスナイパー“シティーハンター”こと冴羽リョウ(フィリップ・ラショー、声:山寺宏一)は、相棒の槇村香(エロディ・フォンタン、沢城みゆき)とともに様々な仕事をしている。ある日、掲示板に“XYZ”宛の新しい依頼が書き込まれる。依頼人の男ドミニク・ルテリエ(ディディエ・ブルドン、土師孝也)が持ち込んだ仕事は、ルテリエの父が開発した、香りを嗅いだ者を虜にする“キューピッドの香水”を悪の手から守ってほしいというものだった。リョウが香水の効果を疑うと、ルテリエが香水を嗅がせる。すると、リョウは一瞬でルテリエの虜に。それでも信用しないリョウは、香に香水を吹きかける。香が効果を試そうと歩き出した瞬間、現場に爆風が吹き荒れる。一瞬の出来事に気を取られた隙に、キューピッドの香水はバイクに乗った男に奪われてしまう。その男とは、リョウの旧友で元傭兵の海坊主(カメル・ゴンフー、玄田哲章)だった。世界を危機から救うため、48時間以内に香水を取り戻さなければならない。香の香水を嗅いでしまう帽子の男パンチョ(タレク・ブダリ、浪川大輔)、セレブ好きの男スキッピー(ジュリアン・アルッティ、多田野曜平)、美人刑事の冴子(ソフィー・モーゼル、一龍斎春水)を巻き込み、香水奪回作戦に火蓋が切って落とされるが……。

MovieWalker



 2019年の2月にフランスで公開された『ニッキー・ラルソンとキューピッドの香水』。タイトルだけではピンときませんが、ニッキー・ラルソンとはフランスでの冴羽リョウの名前。フランス版シティーハンターな訳ですが、11月に日本でも公開。動画投稿サイトで予告編が公開されていて存在は前々から知っていたので、興味があり観てみることに。吹き替え版のキャストは、リョウ(山寺宏一)と香(沢城みゆき)は違うものの、その他のメインキャストはオリジナル。(海坊主:玄田哲章、冴子:一龍斎春水、秀幸:田中秀幸)声については違和感なく楽しめそうですが、実際に観ての感想は。
 

序盤から置いて行かれそうになりつつも、原作リスペクトは感じられた
 冒頭のリョウVS海坊主からなのですが、アレやコレらをお馴染みのカラスのマークで隠しながらの下ネタのオンパレードで、これは一体?となったり、個性がとても強い本作オリジナルの登場人物の無茶苦茶な行動に、今、自分は何を観ているのだろうか?となることが多々あり、かなり振り切れた内容となっています。よくレイティングに引っかからなかったなと。言ってしまえば、フランス風味の下ネタ全開・ブラックコメディーを絡めたおバカ映画です。シリアス:2、コメディ:8な割合。個人的にはバランスがコメディ寄りすぎかなと思いはするものの、リョウと香の関係性は原作通りで、抑えるところは抑えています。掲示板のXYZの書き込みから始まる物語の構成もシティーハンター。リョウのアパート『冴羽商事』(アニメのデザイン)も再現。アニメで使われていたBGMやSEもところどころ使用。監督・主演を務めたフィリップ・ラショーさんは鍛えられた体でリョウ役に挑まれていて、見るからにこの作品への意気込みが感じられました。香もイメージ通りで、声を担当している沢城さんは、前任の伊倉さんの演技に寄せていた印象がありました。海坊主も秀幸もイメージ通り。しかし、冴子については、丸っきり外見が違うので、声を聴いて、冴子なんだなと気付かされました。


吹き替え版ならではの楽しみ方
 吹き替え版ならではの楽しみ方としては、アニメでのリョウ役の神谷さんと香役の伊倉さんが参加されている点。神谷さんの方は分かりやすいですが、伊倉さんは地声から遠い演技をされているのでどの役を担当されていたのか気付かれなかった方もいるかもしれません。あと、アドリブなんでしょうが、神谷さんの「ひでぶ」、山寺さんの「らんま1/2」、さらには空港でのアナウンスのキャッツアイネタなど、小ネタがいくつかあるので探してみるのも面白いでしょう。


原作をないがしろにしない、1+1=2にする努力
 シリアス少なめではありましたが、一人称視点での戦闘シーンなんてのもあり、コメディだけでなく、アクションシーンも見ごたえのあるものでした。下ネタ全開ではあったものの、原作漫画寄りと考えればこれは納得か。『フランス風コメディ映画』を『シティーハンター』のフォーマットで作ってみたら、こうなった。原作者である北条司さんのコメント「こんな手があったか」にも納得です。こうした原作のフォーマットをそのまま使用するパターンは稀ではないでしょうか。むしろ、原作をないがしろにしてオリジナリティを出してしまいがちで、原作ファンの方からも、そうでない方からも評価されないというパターンが多かったように思います。せっかくの原作なのですから、0+1ではなく、1+1=2にする努力がとても大切なのだなと感じさせるフランス版シティーハンターでした。

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