輝きが向こう側へ!

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【ネタバレ・感想】演技の掛け合いに成長を感じられた続・劇場版『Wake Up, Girls! 青春の影』

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 TVシリーズの続きを描く、続・劇場版前篇『Wake Up, Girls! 青春の影』。旧劇場版同様、公開日初日に劇場へ足を運びました。2013年末のイベントに参加して期待を持ち、2014年公開の劇場版でその期待が膨らみ、続くTVシリーズで「う~ん…」となってしまったのですが、続・劇場版の気になる出来は如何に。

 

タイトル:Wake Up, Girls!青春の影 制作会社:Ordet、ミルパンセ
監督:山本寛 キャラクターデザイン:近岡直 音楽:神前暁、MONACA
キャスト:島田真夢/吉岡茉祐、松田耕平/浅沼晋太郎、丹下順子/日高のり子、他
配給:東宝映像事業部 公開日:2015年9月25日 上映時間:54分

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■ ストーリー
 七人目のメンバーとして元「I-1club」のセンター・島田真夢を加えた「Wake Up, Girls!」は、時にメンバー同士でぶつかり合いながら絆を深め、地元仙台での地道な活動を通して少しずつファンを増やし、ついにはアイドル界の登竜門イベント「アイドルの祭典」に東北代表として出場するまでになった。

 リーダー・七瀬佳乃の負傷というアクシデントを乗り越え、大会を終えた彼女たちを待っていたのは、メジャーレーベル・bvexからのメジャーデビューの誘いだった。「Wake Up, Girls!」のメンバーたちは、ヒットメーカー・早坂相が手がけた楽曲「7 Girls War」を引っさげて上京すると、アイドル文化の中心・東京での新たな挑戦と練習の日々をスタートさせる。

 一方、アイドル界の頂点である「I-1club」にも新たな動きが起こっていた。最新シングルがミリオン(100万枚)割れしたことを重く見たゼネラルマネージャー・白木は、「I-1club」に世代抗争という新たな嵐を呼びこむのだった。


 劇場版を観る前に、シアター限定盤BDとパンフレット2冊(前作のものも販売されていましたので今回のものと併せて)を購入。前作の限定盤は通販で購入したのですが、今作は劇場で手に入りました。一般流通分が10月30日からの販売ですので、いち早く手に入れた格好です。こちらの限定版には特典として音楽CD(アレンジ曲と劇伴)、ドラマCD(シアター限定盤のみ)が封入されています。


■旧劇場版を観て抱いた期待が蘇る

 まず観終わって思ったのが、物語の構成がこれまでと違って整理整頓されていて、かつ起承転結の分かりやすいものになっていたなということです。『Wake Up, Girls!』(以下WUG)のメンバーの東京での活動を主軸に、周りの大人たちの話が頃合いよく挿入されていたので、飽きさせない作りになっていました。TVシリーズについては、物語を構成する上でアイドルに関する面白くなりそうなエッセンスが所々垣間見えるものの、スケジュール管理や製作体制のまずさからか、アニメーションとしての基本的な出来の問題がありましたし、物語の構成自体も間延びしていた印象を受けました。これについては、元々劇場版3作品で公開される予定が、劇場版1作+TVシリーズに変更されたという経緯があったからかもしれません。それが今作では、構成を練り直す余裕があったのか、良いスタッフに巡り合えたのか、解決できていたように思いました。この出来に旧劇場版を観て抱いた期待が、ここにきてまた蘇りました。しかし、予告映像までもうまくまとめ過ぎていまして、予告を見れば大体の内容が分かってしまうのは如何なものかなと。


■今作からWUGを初めて見るのもアリかもしれない

 TVシリーズの続きのお話ではありますが、冒頭部分でのレコード会社のプロデューサーとの顔合わせの際に、それぞれのキャラクター説明をしていたり、これまでの話の流れについても振れられていますので、初見の方に配慮した作りとなっていました。これまでのシリーズを知らずに、この作品を観る方がどれだけいるのか疑問ではありますが、アニメは知らないけれどもライブやTVで活躍しているWUGのメンバーは知っているという方にとっては、ここから入るのも良いかも知れません。

 レコード会社のプロデューサー『カルロス嶋田』を演じるのは島崎信長さん。個人的にはクールなイケメンを数多く演じている印象がある彼でしたが、こういった演技もされるのだなと思うほど、タガが外れてしまったようなフリーダムな演技をされていました。島崎さんとWUGというと、別番組である『ダイヤのA』のニコ生番組にて、生粋のラブライバーなのにも拘わらず、松田マネージャー役の浅沼さんからWUGのDVDを全巻購入されていました。その1年後、WUGに出演されることになろうとは思いもしませんでした。




■演技の掛け合いに成長を感じる

 アニメのWUGのメンバーと同様に、そのメンバーを演じる声優さんもWUGとして活動していますが、そういったアニメと現実を結び付けていることを、山本監督は『ハイパーリンク』と名付けています。他のアイドルアニメコンテンツでもそういった現象が見受けられますが、それを言語化したものです。旧劇場版を観た際に『タチアガレ!』を歌い踊る姿を観て、実際のWUGのメンバーと同じ動きをしていることに感動したことは、自分にとっての『ハイパーリンク』の成功例でした。今作でもそれが感じられる点が多々ありまして、WUGのメンバー間での掛け合いのシーンにそれを感じました。前々から掛け合いのシーンは多かったのですが、ただ脚本を読み進めるのではなく、相手の出方を見て言葉を発していたところに成長を感じました。メンバー間の付き合いが長くなってきたことで、嘘じゃない関係性がより表現されていましたので、掛け合いがこれまでよりも楽しく耳に入ってきました。

 ハイパーリンクの件でもう1つ印象的な場面がありました。I-1 Clubのセンター争いの件です。ここで意外な人物の名前が挙がってきました。現在のセンターである大坪由佳さん演じる岩崎志保と対峙するのは山本希望さん演じる鈴木萌歌。これまでの流れを知っていても、何故この子がセンター争いに?と思ってしまう方が多いと思うのですが、自分にとっては納得の人選でした。この点については、TVシリーズでも少しだけ描かれていましたが、それよりも、2013年末に行われたイベントにて、山本さんがセンター争いについて監督に言及されていたことが脳裏に浮かびました。これが引き金になったのかどうかは定かではありませんが、もしそうだとすれば、山本さんの意見が取り入れられたのかもしれません。


■これもまたハイパーリンクによる力なのか

 劇中でセカンドシングルとしてリリースされた『素顔でKISS ME』。この曲を初めて聴いたのが映画館ではなく、セカンドライブツアーの大阪公演の会場ででした。その時には、これまでとはかなりイメージを変えてきた大人っぽい曲で、良い意味での路線変更だと感じていました。しかし劇中では、イメージを変えたという意味では同じだったのですが、悪い意味での路線変更となっていました。成功を収めたファーストシングル『7 Girls War』との対比の曲だった訳ですが、先に聴いていた印象が悪くなかったので、「こういう使われ方なの!?」と内心思ってしまったのでした。実際、悪い曲ではないですし、ライブで歌っている姿を見れば、映画館で初めてこの曲を聴いたという方も印象が変わるのでは。

 3rdシングル『少女交響曲』。この曲に巡り合う為の前篇と言っても良いのでは。東京で苦戦を強いられるWUGのメンバーを見るに見かねて、早坂プロデューサーが助け舟を出した形での新曲。曲を貰ってすぐ、歌い踊る姿を普通に観てしまったのですが、思い起こしてみましたらファンタジーな出来事であったと気付きました。ライブで歌っている姿を先に見ていることで当たり前の様に観てしまうとは、これもまたハイパーリンクによる力なのでしょうか。


■ 最後に

 前篇ということで、後編に続くという形で途中で終わってしまうのですが、続きを期待したくなる内容でした。TVシリーズでの問題点の1つであった作画に関しては、胆となるダンスシーンやそれ以外の日常のシーンでも、アニメーションとしての見どころもありました。全編を通して作画が安定しているとまでは言い切れませんが、TVシリーズと比べれば格段に良くなってると感じられる出来でした。個人的には作画うんぬんよりも、続・劇場版としてWUGが再びスタートがきれたことが、なによりもうれしく感じられ、12月11日公開の後篇がますます楽しみになりました。


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