輝きが向こう側へ!

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【ネタバレ・感想】劇場版『Wake Up, Girls! 七人のアイドル』は、1話であり2話でもあった

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 劇場版『Wake Up, Girls! 七人のアイドル』、TVアニメシリーズの前日譚を描いているということでしたので、TVアニメ放送前、公開日初日の1月10日に劇場で観てみました。

タイトル:Wake Up, Girls! 七人のアイドル
制作会社:Ordet × タツノコプロ
監督:山本寛
キャラクターデザイン:近岡直
音楽:神前暁、MONACA
キャスト:島田真夢/吉岡茉祐、松田耕平/浅沼晋太郎、丹下順子/日高のり子、他
配給:東宝映像事業部
公開日:2014年1月10日
上映時間:53分

劇場版「Wake Up, Girls!  七人のアイドル」 初回限定版[Blu-ray+CD]

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劇場版は有料(800pt)で配信中。

ストーリー
時はアイドル戦国時代。
これは、この荒波を生き抜く7人の少女達「Wake Up, Girls!」の物語である。
東北、仙台にある作業寸前の弱小プロダクション、
グリーンリーブズ・エンタテイメント。
かつては手品師、グラビアアイドル、占い師などが所属していたが、
唯一活動していた最後のタレントもついに辞めてしまう。
所属タレント“0(ゼロ)”という危機的状況の中、事務所社長・丹下の思い付きで
アイドルユニットをプロデュースする事を決意する。
傍若無人な社長の元、マネージャー松田は不満を持ちながらも、
アイドルの原石を探しに街へ出る。
そんな中、マネージャー松田は、ある少女と必然的な出会いを果たし…

 

 前情報もなくこの映画を観てしまった人は「えっ?コレで終わり??」と思われたことでしょう。上映時間が53分しかありません。上映時間については前もって知っていましたので、自分としては丁度良いと感じました。物語を間延びさせてしまうよりも簡潔の方が観やすいですからね。さてそれでは、この映画についての感想をつづってみようと思います。


観終わっての感想 → 劇場版はTVシリーズの1,2話相当の話で、TV1話は3話

 まず観終わっての感想。これはTVシリーズの前日譚ではなかったです。TVシリーズの1話と2話に相当する話であると思いました。前日譚と聞いていたので、アイドルになるまでの彼女たちの経緯でも描くのだろうと勝手に解釈していたのですが、そうではなく、本編に突入してしまっていました。マネージャーと元アイドル島田真夢との出会いの1話。その島田真夢がWake Up, Girls!のメンバーに入ることを決心する2話。劇場版に続いてTVシリーズの1話を観ましたが、これは内容的にも絵のクオリティ的にも3話に相当する話です。一応、TVシリーズだけ見ても劇場版までの流れが分かるような構成になっていたものの、このアニメをヒットさせる為には重要であろう、アイドル達を応援しようと思わせるまでには至らない作りであったと思います。劇場版を観ていれば許せる1話だっただけに、残念であり、この作品を応援している者としては悔しくもありました。劇場版の内容をTVシリーズとして放送していれば、こんなことにはならなかったと思いますが、アニメーション制作には、様々な関係者の様々な思惑が交差しますので仕方ない、かな。

 アイドルものとして何が描かれるのかと注目して観ていたのですが、現実にいるアイドル、さらに言えば、ローカルアイドルを題材にしている作品で、意外と今までになかったタイプのアイドルものであると感じました。アイドル達の最初のお仕事が、スーパーの裏でのステージという本当にスタートからを描かれていて、リアルといいますか生々しかったです。アイドル事情に詳しい山本監督ならではの、昨今のアイドル事情がこれから描かれるのではないかと期待しています。


 本編中、オーディションの様子が丸々カットされていまして、違和感を感じた方がいるかもしれません。実はあのシーンの映像はありまして、『出逢いの記録』という劇場観賞用前売券の特典DVDにそのシーンが収録されています。林田藍里がオーディションの為に歌の練習をしていましたが、その歌を披露するシーンも収録。彼女たちの性格・特技を知るためにも、カットしないほうが良かったのではと思いました。


新人声優の演技 → ベテランに囲まれてた現場での成長に期待

 アイドル役のキャスト陣が全員新人ということで、演技はどうかと思っていたのですが、作品が破綻するようなことはなかったです。演技が上手いなと感じたのは、七瀬佳乃役(リーダー)の青山吉能さんと、菊間夏夜役の奥野香耶さん。初出演作品ながら堂々としたものだったのでは。その他の子もこれからの成長に期待です。彼女たちの成長と共にこの作品を楽しめればと思います。

 社長役の日高のり子さん。社長が傍若無人なオバサマで、最初は日高さんのかわいい声では合わないかな思いましたが、観ていくうちにその違和感はなくなってきました。さすがはベテラン。日高さんの他にも島本須美さんや西村知道さん、TVシリーズでは中尾隆聖さん等、ベテランの方々が参加されています。ちなみに中尾隆聖さんは81プロデュースの養成所の講師をされています。おそらくアイドル役の7人(81プロデュース所属)を指導をされていたのではないでしょうか。若い人ばかりの現場が多い昨今、若いキャスト陣は勉強になるのではないかなと思います。さらには、ライバルユニット『I-1クラブ』の少し上の世代のキャスト陣の存在も良い効果を生むだろうとも思います。


作画 → 序盤頑張りすぎて中だるみするもライブシーンで盛り返す

 人の動きが丁寧に描かれていて、山本監督が手掛けたアニメ作品『かんなぎ』の1話を髣髴とさせるアニメーションだなと感じました。1つ1つの動作がアニメーションとして観ていて面白い。ただし、全編を通してコレが続かず、映画の途中から作画が不安定になっていきます。映画の序盤は芸能事務所の社長とマネージャーが主に登場するのですが、この序盤に力を使いすぎた感は否めません。事務所の社長がグリグリ動くところよりも、アイドルの何気ない動作の方に力を入れてくれていれば、作品としてさらに魅力的な作品になったのではなかろうかと思わずにはいられませんでした。しかしこれは、本来であれば全編丁寧に描きたかったのでしょうが、途中で力尽きたものと思われます。時間にせよ労力にせよ配分って大事ですね。

 劇場版の見せ場であるライブシーンについては、さすがはダンスアニメーションの人、山本監督と思う出来。キャスト陣が実際に踊った映像を基に作画されたとのことで、中々普通のアニメでは見られない生々しい人の動きが取り入れられたダンスアニメーションは観る価値ありです。ただし、観る人が観ると小刻みに動いているようにしか観えないかもしれないです。本当は省略できる部分までも作画枚数を使ってしまっているので、無駄と言えば無駄なのですが、これには作り手側の意気込みを感じさせます。演出として、要所でダンスの振りに合わせてカメラを動かしてダンスとシンクロさせているシーンが印象的でした。人によっては嫌う演出ですが、個人的にはシンクロが気持ちよく感じました。それにしても、このシーンで流れた主題歌である『タチアガレ』が良い!一般的なアイドルソングとは異なるタイプの曲ですが、さすがは神前さん作曲だなと思うばかり。


 最後に一言、ライブシーンでパンツは見せなくても良かったと思います。(嫌いではないがな!)演出として、あからさまなファンサービスと思われてしまうので、やらない方が良かったかなという印象です。見せパンの用意を忘れたものの、恥ずかしさよりもステージに立つことを選んだ結果ああなりましたが、いろんな意味で伝説のファーストライブ、それを思わせる演出だったのでしょうか?真相は如何に。


最後に

 昨年末に行われたこの作品のイベントにきまぐれで参加してみましたが、このイベントで行われたライブを観たことにより、劇中のライブシーンがより一層楽しめました。実際に見たライブの様子をアニメでしっかりと再現。映画を観る前にイベントに参加しておいて本当に良かったと感じました。コレを観ていなかったならば、クライマックスの感動が全く違ったと思います。現実とアニメのリンクにより、この作品を一層楽しむことができると実感。積極的に楽しもうという姿勢があれば、この作品は化けます。

 今後のTVシリーズも見続けようと思います。ただ、TVシリーズ1話の時点で絵のクオリティがあのレベルではこの先大丈夫なのかと不安に…。昨年末のイベントで何回も聞かれた山本監督の発言、「製作が遅れている」ということを如実に感じた1話でした。問題なくラストまで続いてくれることを切に願いたいと思います。

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劇場で原画のコピー(七瀬佳乃)を貰いました。当たりで生原画もあるようです。


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