輝きが向こう側へ!

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思いついたことをそのまま記事にしている何の脈略もないブログです。アニメやゲームの感想等を掲載。

【ライブレポート】声優アーティストの歴史を体感できる珍しいイベント『声優紅白歌合戦2019』

イベント詳細

声優紅白歌合戦2019
開催日:2019/04/14
    開場16:30 開演17:30
会 場:舞浜アンフィシアター(千葉県)
発起人:中田譲治
司 会:諏訪部順一、植田佳奈
出 演:
<紅組>
井上喜久子、井上ほの花、岩男潤子、笠原弘子、小松未可子、中川翔子、日髙のり子、平野綾、横山智佐
<白組>
井上和彦、内田直哉、大塚明夫、黒田崇矢、関智一、武内駿輔、豊永利行、平川大輔、堀内賢雄
<ゲスト>
秋元羊介、飯島肇、勝杏里

出演者感想まとめ


中田譲治さんの交友関係の広さに驚き

 中田譲治さんのツイッターでの発言が発端となり、開催されることになった声優紅白歌合戦。中田さんが出演者を直接オファーされただけあって、普段ならなかなか出演してくれないであろうレジェンド級のベテランから、ここ数年の間にデビューされた若手まで幅広い世代の声優さんが出演。同世代から下の世代まで、中田さんの交友関係の広さには驚きです。分け隔てなく人と接する人柄だからこそ集った出演者とも言えるでしょう。

 会場に到着したのが開演時間20分前ぐらい。この時点で、長い入場待機列ができていました。調べてみたところ、開場時間が30分ほど遅れたようで、この状況も納得。この為に開演時間が10分遅れてしまいましたが、思っていたほど遅れることはありませんでした。

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セットリスト

M01:God knows...(涼宮ハルヒの憂鬱 #12 挿入歌)
   涼宮ハルヒの詰合(06/06/21)より

   作詞:畑亜貴
   作曲・編曲:神前暁
   歌:平野綾


M02:銀河鉄道999(銀河鉄道999 OP)
   銀河鉄道999 主題歌・挿入歌集(79/02/01)より

   作詞:橋本淳
   作曲:平尾昌晃
   編曲:青木望
   歌:武内駿輔

M03:昭和ブルース(MGS PEACE WALKER キャラソン)
   METAL GEAR SOLID PEACE WALKER
   平和と和平のブルース(10/09/22)より

   作詞:山上路夫
   作曲:佐藤勝
   歌:大塚明夫

M04:手のひらの宇宙(KEY THE METAL IDOL #15 主題歌)
   手のひらの宇宙(97/07/18)より

   作詞:濱田理恵
   作曲・編曲:寺嶋民哉
   歌:岩男潤子

M05:愛としか呼べない(アンジェリーク キャラソン)
   愛としか呼べない(97/04/09)より

   作詞:森由里子
   作曲:岡本朗
   編曲:伊藤真澄
   歌:堀内賢雄

M06:Shooting Star(おねがい☆ティーチャー OP)
   Shooting star(02/01/26)より

   作詞:KOTOKO
   作曲:折戸伸治
   編曲:高瀬一矢
   歌:井上喜久子

M07:水中飛行論における多角的アプローチ(Free! キャラソン)
   Free!キャラクターソング Vol.5(13/09/04)より

   作詞:こだまさおり
   作曲・編曲:佐々木裕
   歌:平川大輔

M08:ブルーバード(NARUTO -ナルト- 疾風伝 OP3)
   ブルーバード(08/07/09)より

   作詞・作曲:水野良樹
   編曲:江口亮
   歌:井上ほの花、井上喜久子

M09:チャンピオン
   チャンピオン(78/12/15)より

   作詞・作曲:谷村新司
   編曲:石川鷹彦
   歌:大塚明夫、黒田崇矢

M10:トップをねらえ! ~Fly High~(トップをねらえ! 挿入歌)
   トップをねらえ! 音楽大図鑑(89/06/07)より

   作詞:松宮恭子
   作曲・編曲:田中公平
   歌:日髙のり子、中川翔子

M11:創聖のアクエリオン(創聖のアクエリオン OP)
   創聖のアクエリオン(05/04/27)より

   作詞:岩里祐穂
   作曲・編曲:菅野よう子
   歌:岩男潤子、平野綾

M12:桜
   桜(05/11/02)より

   作詞・作曲・編曲:コブクロ
   歌:井上和彦、内田直哉、堀内賢雄

M13:コンディション・グリーン~緊急発進~
   (機動警察パトレイバー OP2)
   コンディション・グリーン〜緊急発進〜(90/08/21)より

   作詞:谷口俊
   作曲:TSUKASA
   編曲:根岸貴幸
   歌:笠原弘子

M14:必ず景色は変わる
   必ず景色は変わる(18/02/28)より

   作詞:黒田崇矢
   作曲:栗田SEITALOW
   編曲:高津戸勇紀
   歌:黒田崇矢

M15:ゲキテイ(檄!帝国華撃団)(サクラ大戦 OP)
   ゲキテイ(檄!帝国華撃団)(00/04/19)より

   作詞:広井王子
   作曲:田中公平
   編曲:根岸貴幸
   歌:横山智佐
   ダンサー:日髙のり子、井上喜久子

M16:戦闘男児~鍛えよ勝つために~
   (機動武闘伝Gガンダム キャラソン)
   機動武闘伝Gガンダム FIGHT-ROUND 3(94/11/23)より

   作詞:前田耕一郎
   作曲:前田克樹
   編曲:岸村正実
   歌:関智一
   台詞:秋元羊介

M17:Maybe the next waltz(ボールルームへようこそ ED1)
   Maybe the next waltz(17/08/09)より

   作詞・作曲:Q-MHz
   編曲:Q-MHz、伊藤翼
   歌:小松未可子

M18:Day you laugh(デュラララ!!×2 転 OP)
   Day you laugh(15/08/12)より

   作詞・作曲:T.Toyonaga
   編曲:家原正樹
   歌:豊永利行

M19:空色デイズ(天元突破グレンラガン OP)
   空色デイズ(07/06/27)より

   作詞:meg rock
   作曲・編曲:齋藤真也
   歌:中川翔子

M20:ああ電子戦隊デンジマン(電子戦隊デンジマン OP)
   電子戦隊デンジマン テーマ音楽集(80/08/25)より

   作詞:小池一夫
   作曲・編曲:渡辺宙明
   歌:内田直哉
   ギター:飯島肇
   ベース:勝杏里

M21:ハート ないしょ/2(らんま1/2 キャラソン)
   らんま1/2 音楽道場(92/10/21)より

   作詞:小池一夫
   作曲・編曲:渡辺宙明
   歌:日髙のり子
   コーラス:井上喜久子、井上ほの花

M22:誰がために(サイボーグ009 OP)
   誰がために(79/03/01)より

   作詞:石森章太郎
   作曲:平尾昌晃
   編曲:すぎやまこういち
   歌:井上和彦

M23:GO!!!(NARUTO -ナルト- OP4)
   GO!!!(04/04/28)より

   作詞:KOHSHI
   作曲:TAKE
   編曲:FLOW & Seiji Kameda
   歌:出演者全員



 開演すると、杉田智和さんがナレーションを担当したオープニングムービーが。これが流れた途端に笑いが起こるという。たった一声だけで場の空気を変えてしまうとは凄いものです。声優がアーティスト活動を行ってきた歴史を軽く振り返る内容のムービーが流れた後に、発起人の中田さん、続いて、司会を務める諏訪部順一さん、植田佳奈さん。そして、紅組・白組の出演者が登場しました。(小松未可子さんは未登場、駆け付けでの出演でした)

 セットリストに各種情報を加えてまとめてみましたが、幅広い層の出演者で、CDまたはLPの発売日を見ていただければ分かる通り、年代はバラバラです。全ての曲についてフォローできる方は観客の中でもごく少数だったかと思いますが、声優さんが歌ってきたキャラソン、アニソン(特ソン)等々、声優さんが歌ってきた曲の歴史を感じられるライブイベントとなりました。

 このイベントの模様はテレビで放送される予定ですし、普通に内容を振り返るのもあれなので、曲のジャンル別に語っていくとしましょう。


こんなにキャラクターソングが歌われるとは

  声優さんが役を演じながら歌うキャラクターソング。平川大輔さんが、竜ヶ崎怜として『水中飛行論における多角的アプローチ』を披露。この曲自体は聞いたことがなかったのですが、アニメの『Free!』は観ていましたので、平川さんの熱演から、あのキャラの曲かと聞きながら理解することができました。そういった意味では、キャラの個性が表現されている正統派キャラソンと言えます。キャラソンは、そのコンテンツのイベントでもない限り、なかなか披露されることはありません。それなのにも拘わらず、関智一さんの『戦闘男児~鍛えよ勝つために~』。日髙のり子さんの『ハート ないしょ/2(ハートニブンノナイショ)』。この様な機会でもなければ、もう生で聴くことはできなかったんじゃないかという曲まで聴けてしまいました。しかも、関さんの時には東方不敗役の秋元羊介さんがコスプレしての登場。セリから上がってきて、熱いセリフを言ってくれたと思ったら、すぐにセリが下がってしまうという、シュールかつ豪華すぎる使い方。本放送時から25年も経って、ドモンと師匠の掛け合いが見られるなんて夢のよう。日髙さんは日髙さんで、井上親子と一緒に登場。コールアンドレスポンスが特徴的な『ハート ないしょ/2』でレスポンスを担当する親子。こちらも豪華すぎる。二世代でこの曲が披露されるとは、想像すらしていませんでした。

 最近のキャラソンの主流は、キャラが劇中で歌う曲。平野綾さんが歌われた、涼宮ハルヒの『God knows...』がそれにあたり、その後の『けいおん!』や、『アイドルマスター』や『ラブライブ』等のアイドルものも含まれます。キャラの自己紹介曲から、キャラが歌う曲へと移り変わっていきました。その結果、キャラの人気と、そのキャラを演じる声優の人気が掛け合わさり、大きな会場でのライブイベントが数多く開催されることに。昔であれば、歌については歌手の方が担当する流れがありましたが、現在では演技も歌も要求されるので、声優はマルチな才能が求められる職業となってきた訳です。


声優さんの様々な作品への関わり方

 冨永みーなさん、笠原弘子さん、坂本真綾さん。こまどりグループの流れ。もちろん声優としても活躍されていますが、昔からアーティスト気質が強かった面々。笠原弘子さんは、機動警察パトレイバーのオープニング曲『コンディション・グリーン~緊急発進~』を披露されました。着物姿で丸眼鏡。紅白歌合戦らしい、和な装いもなかなか良いものでした。パトレイバーには声優としては参加されおらず、歌手としての参加。ロミオの青い空の『空へ』でもそうでした。今回の出演者の中では、小松未可子さんも歌手として作品に参加する形。アーティストとしての起用が昔では少し不思議に感じられましたが、今では不思議なものではなくなってきました。

 声優さんといっても作品の関わり方は様々で、声優さんではないけども、声優さんの仕事もされる方もいて、それが今回の出演者の中では中川翔子さんになります。声優さんではないのに声優紅白に出演?との声も挙がっていたようですが、声優の仕事をされる様々な関わり方がある中、本職の声優さんにも負けないくらい、様々な役柄を演じられているのですから、声優のアーティスト活動の歴史を振り返る中では、面白い存在であるのは確かだと思います。彼女自身、昔の作品にも精通されているので、今回のような世代を超えた作品の曲が披露される場には、必要不可欠な存在だったのでは。(デンジマンにテンションアップ)


歌い継がれる名曲

 武内駿輔さんが『銀河鉄道999』という、アニソンとしては昔からの王道なものではあるものの、意外な選曲。とはいえ、あの低音ボイスですから、声がハマっていました。若い世代が昔の曲を歌い継いでいくというのも良いことです。歌い継ぐと言えば、内田直哉さんの『ああ電子戦隊デンジマン』、井上和彦さんの『誰がために』。オリジナル歌手である成田賢さんは既にお亡くなりになりましたが、それぞれの作品の出演者であるお2人から、歌い継いでいきたいとの声が聞けたこと、これにはうれしいお言葉が聞けたなとしみじみ感じました。作品の出演者というのはかなりの強みで、別の歌手が歌われても、なんだか違うなと思ってしまうものが、それが出演者となると、歌声に説得力が溢れてくるのが、アニソンならではの面白さ。かつて、井上さんの『誰がために』については聴いたことがあったのですが、当時と違って渋みを増した歌声が聴けるのかと思いきや、今も変わらずの若々しい歌声でビックリさせられました。


声優アーティストの歴史を体感できる珍しいイベント

 出演者の世代がバラバラであったので、どういったイベントになるのか想像がつかなかったのですが、紅白歌合戦という番組フォーマットを取り入れつつも、声優アーティストの歴史を体感できる、なかなか珍しいタイプのイベントでした。ただ、選曲的に、かなり年季の入ったアニメファンでないと、満喫できたかどうかは難しいところ。2世代に渡ってのアニメファンが、ご家族で楽しむには良かったのかもしれません。実際、客層は年齢層高めだったような。それにしても、若手からベテランまでの声優さんの歌唱を楽しめるのですから、滅多にない機会ではありました。大塚明夫さんと黒田崇矢さんが歌われた『チャンピオン』でのふざけて戦っている姿、自分には歴戦の戦士の闘いにしか見えませんでした。今回だけでなく、次回もあるそうなので、次はどういった方々が出演されるのか楽しみです。

【ネタバレ・感想】彼女の多面性が垣間見えた『LUPIN THE IIIRD 峰不二子の嘘』

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タイトル:LUPIN THE IIIRD 峰不二子の嘘
制作会社:トムス・エンタテインメント
監督・デザイン・作画監督:小池健
脚本:高橋悠也 音楽:ジェイムス下地
キャスト:ルパン三世/栗田貫一、峰不二子/沢城みゆき、他
配給:ショウゲート 公開日:2019年5月31日 上映時間:56分

LUPIN THE IIIRD 峰不二子の嘘 限定版 [Blu-ray]

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不二子(声:沢城みゆき)は、心臓に病を抱える少年ジーン(声:半場友恵)とともに逃げていた。ジーンの父・ランディは、ジーンの心臓の手術費と逃亡資金を手に入れるため、ゴドフリー・マイニングから5億ドルを横領したのだ。だが、殺し屋ビンカム(声:宮野真守)に追い詰められて自爆したため、5億ドルの在処を知る人間は、今やジーンただ独り。不二子とジーンを追い詰めてゆくビンカム。呪いの力で人の心を操るビンカムから一度は逃げ延びながらも、結局拘束されてしまう不二子とジーン。ビンカムの鋭利な爪が今、不二子に襲い掛かる……!

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 前作から2年以上の月日が経過。間にTVシリーズのパート5が放送されていましたので、かなり間が空きました。その影響なのか、原作寄りだった絵柄が、アニメ寄りになった気がします。それは絵柄だけでなく作風自体がそうなったと言えるかもしれません。
 

これまでと違って若干マイルドな作りに
 これまでのシリーズは、ダーティーなイメージが強かったですが、今作は子供が絡んでくる話になっているので、その影響もあってか、これまでと違って若干マイルドな作りに。前情報で確認していた敵キャラクター、ビンカムについては、とても不気味な印象を抱いていたのですが、不二子の色気にやられてしまうという案外、俗っぽいキャラクターでした。いや、愛に飢えているという事で純粋と称するべきか。見た目は違いますが、特殊能力使いという事で、1stシリーズのパイカルを思い出しました。話を戻しますが、子供と行動を共にする不二子。こちらは、TVスペシャル『バイバイ・リバティー 危機一髪!』でのルパンを彷彿とさせました。大人と子供を組ませて、どういった反応が生まれるのか、そういった側面でストーリーを構成されたのでしょう。そこには不二子の子供嫌いな面が隠し切れず見えつつも、子供を放りっぱなしにもできない気まぐれな面(母性?)を見せるなど、彼女の多面性が垣間見えました。戦闘シーンでは、やっぱりアレを出すのだなと。とはいえ、それを売りにした作りの作品ではないので、そういうのを期待している方には、ちと物足りなかったのかも。


キャスト変更当初の背伸びした演技からの変貌
 2011年に、銭形警部、石川五ェ門、峰不二子のキャストが変更。山寺宏一さん、浪川大輔さん、沢城みゆきさん。変更された当時は、長年演じてこられた前任者のイメージが強い中で、どう演じるのか苦労していたように感じました。あの山寺さんでさえも、納谷悟郎さん演じた銭形を単に真似するだけでなく、自分のものにしようと試行錯誤があっての今ではないでしょうか。そもそも『ルパン三世』という作品が、回によって作風が異なり、キャラクターの性格もそれにより変わるという特殊な作品で、いくつかの顔を用意する必要があるというのが難しいところ。不二子に関してはそれが顕著で、ミステリアスな謎の女であったり、コメディエンヌなお金の亡者であったりと、振れ幅が大きい。そんな中、前任者である増山江威子さんが演じた不二子のニュアンスを活かしつつ演じられている様子を、この作品で堪能できるというのが、この作品の1つの売りかもしれません。変更当初の背伸びした演技からの変貌が実感できます。


殺し屋達を裏で操っているのは
 『次元大介の墓標』から始まった本シリーズ。それぞれが単品の印象があったのですが、本作になって、これまで敵として登場した殺し屋達が再登場。この殺し屋達を裏で操っているのは、やはりあの人か。次は銭形編?大きな動きがありそうです。最後の最後で、モンキーパンチ先生へのメッセージが。本編と違うところでウルっときてしまいました。

【ネタバレ・感想】TVシリーズとしてじっくり観たかった『響け!ユーフォニアム ~誓いのフィナーレ~』

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タイトル:響け!ユーフォニアム ~誓いのフィナーレ~
監督:石原立也 脚本:花田十輝 音楽:松田彬人
キャラクターデザイン:池田晶子
キャスト:黄前久美子/黒沢ともよ、久石奏/雨宮天 他
配給:松竹 公開日:2019年4月19日 上映時間:1時間40分

昨年度の全日本吹奏楽コンクールに出場を果たした北宇治高校吹奏楽部では、2年に進級した黄前久美子(声:黒沢ともよ)と3年生の加部友恵が4月から新しく入った1年生の指導に当たることに。全国大会に出場したとあって多くの新入部員を迎えるなか、低音パートには、一見、何の問題もなさそうな久石奏(雨宮天)、周囲と馴染もうとしない鈴木美玲(七瀬彩夏)、そんな美玲と仲良くしようとする鈴木さつき(久野美咲)、自身のことを語ろうとしない月永求(土屋神葉)の4名がやって来る。サンライズフェスティバルやオーディション、そしてコンクールと、全国大会金賞を目標に掲げる吹奏楽部では問題が次々と勃発。北宇治高校吹奏楽部の波乱の日々が始まる……。

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冒頭、『たまこラブストーリー』でも始まったのかと

 これまで劇場版として、主人公である黄前久美子が1年生の頃の内容を描いたTVシリーズの総集編が2作品がありましたが、本作では久美子が2年生に。TVシリーズの総集編としてではなく、完全新作劇場版として公開されました。自分は21日のMOVIX京都舞台挨拶付上映で鑑賞したのですが、高坂麗奈役の安済知佳さんが、大吉山でのシーンで麗奈が着ていた服装で登場。あんなドレッシィな格好であの山に登ったのかと、とても印象的な服装でしたので、登場されてすぐ服装のことに気付いたのでした。舞台挨拶の内容としては、京都の話題が多く、数日前に加藤葉月役の朝井彩加さんが京都に来ていた話や、石原立也監督からは駅でのアナウンスのリアリティの話があり、これに対しては拍手が起こっていました。上映後舞台挨拶の際には、これまで数多くの劇場に足を運ばれていて疲れが溜まったのか、久美子役の黒沢ともよさんは、ちょっとしたことでも笑い出してしまう状態に。安済さん、朝井さんは話すことがまとまらず。そんな中でも、まとめ役として川島緑輝役の豊田萌絵さんが最後の砦として頑張っておられました。

  冒頭から、久美子とその幼馴染である塚本秀一とのシーンが。『たまこラブストーリー』が始まったのではないかと思うぐらいに、らしくないシーン・演出となりました。そもそも久美子にその気がないことをTVシリーズでは、ずーと描いていたと思うのですが、ここにきてようやく進展が。修一とのシーンが度々挿入され、付き合うという距離感になったことで、今までにない久美子のリアクションが見られたのは面白かったなと。距離感というと、駅のベンチでの2人の距離感。それを観て、進展しててもその距離感は相変わらずなのかと、ガッカリするような、安心するような複雑な気持ちに。

 

標準語での掛け合いに違和感を覚える

  これまでの久美子と田中あすかとの掛け合いと同じく、久美子と久石奏の掛け合いが脚本の基軸と感じました。しかし、この掛け合い。何か違和感を覚えるので、それが何故かと映画を見終わってからしばらく考えていたのですが、これは標準語でのやりとりだったからかなと思いつきました。原作では関西弁。原作は読んでいないのですが、奏の様なキャラクターは京女特有のハンナリしつつもネチネチとした喋り方が本来の姿なのではないかなと。そちらの方が嫌らしさが出て、役としてハマるはずだと思ったのです。それをうまく翻訳できていない点が、違和感を覚えた理由なのではないかと考えました。しかしながら、関西弁にしたところで、奏がさらに嫌みを感じるキャラクターになってしまうので、これはこれで標準語のままが丁度良いのでしょう。関西弁ではイライラして観ていられなかったかもしれませんからね。


長尺の演奏シーンで毎回思うこと。

 クライマックスでは、いつもの長尺の演奏シーンが。毎回思うのですが、この演奏シーンで間を持たせる演出は大変だろうなとつくづく思うのです。尺の長さもそうですが、壇上にいる人数が多い時点で、それを全て動かすのは手のかかる作業であり、かつ、音楽経験者が観ても不自然にならないような楽器の演奏描写を再現する必要がある。さらには、観る者を引き付ける演出になっていなければならない。作り手側の立場を考えますと胃が痛くなります。今回の演奏シーンですが、カット割りが多く、今まで以上に魅せる演出になっていたなと感じました。『リズと青い鳥(昨年公開作品)』本編とはまた違った形での演奏シーンが観られる。この時点でも熱いものがありましたが、演奏シーンでの魅せ方のノウハウが出来てきたのだろうなと感心しながら観させてもらいました。



正直なところ、TVシリーズとしてじっくり観たかった

 TVシリーズ1期2期と描いてきた1年目の内容を、2年目は1本の劇場版として100分という上映時間で構成。さすがにこれでは原作の内容を収めることはできませんので、あくまで久美子視点のお話としてまとめられています。本作では後輩である1年生組が登場するのですが、久美子と同じユーフォパートである奏との話が中心に。他の1年生組との関係性が薄いので、些細なことで揉め事になった時に、何でそこまで揉めるの?と疑問を覚えてしまうのですが、作中にあるちょっとしたヒントを基に、一応理解できるような作りにはなっています。とはいえ、深く知るには原作を読むしかなさそうです。

 部活の1年間の周期で行われるイベントごとはそうそう変わるものではないので、大筋の内容についても変わりません。1年間のスケジュールを俯瞰で見てしまいますと、毎年淡々とイベントごとが進んでしまうのだと感じてしまうのですが、学生時代はそれが濃密に感じられるもの。それがTVシリーズ1期、2期で丁寧に描かれていたからこそ、そう感じられていたのではないかと思います。この久美子視点の『誓いのフィナーレ』と、鎧塚みぞれ視点の『リズと青い鳥』が同じ時期の内容となりますので、この2作品で原作の内容をある程度カバーしているものの、TVシリーズとしてじっくり観たかったなというのが正直な感想でした。群像劇として『響け!ユーフォニアム』が自分は好きなんだろうなと、改めて実感。続く、3年生編に思いをはせつつも、その前にちょっと時間を巻き戻せないかなと思うのですが。さて、どう進んでいくのやら。


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