輝きが向こう側へ!

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【ネタバレ・感想】コロニー落としの惨劇をミニマムな視点に落とし込むことで実感が『機動戦士ガンダム THE ORIGIN V 激突 ルウム会戦』

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タイトル:機動戦士ガンダム THE ORIGIN V 激突 ルウム会戦
制作会社:サンライズ
総監督:安彦良和 演出:江上潔、カトキハジメ
キャラクターデザイン:安彦良和、ことぶきつかさ
メカニカルデザイン:カトキハジメ 、山根公利 、明貴美加 、アストレイズ
音楽:服部隆之
キャスト:シャア・アズナブル/池田秀一、セイラ・マス/藩めぐみ、他
配給:松竹 公開日:2017年9月2日 上映時間:80分

機動戦士ガンダム THE ORIGIN V 激突 ルウム会戦 (メーカー特典なし) [Blu-ray]

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宇宙世紀0079年。人類は宇宙ですら戦場に変え、ジオン公国軍は、世界人口の半数を死に至らしめたブリティッシュ作戦・コロニー落としを実行し突き進んでいた。一方、劣勢を挽回すべく圧倒的な戦力で挑む地球連邦軍。そしてその裏では、ザビ家の陰謀が交錯する。変えがたい運命に翻弄されるセイラ・マス(声:潘めぐみ)、ジオン軍のパイロットとなってしまったランバ・ラル(声:喜山茂雄)やハモン(声:沢城みゆき)、サイド7で平穏に暮らすアムロ(声:古谷徹)やフラウの日常生活にも暗い影が訪れようとしていた。そんななか、復讐に駆られたジオン軍のエース、シャア・アズナブル(声:池田秀一)の「赤い彗星」としての伝説が誕生する……。

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 『機動戦士ガンダム(1979)』のキャラクターデザインを手がけた安彦良和さんがガンダムをコミカライズ。その『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の中のエピソード『シャア・セイラ編』がアニメ映画化され、それが好評だったことを受けて製作されたのがこの『ルウム編』です。前後編に分かれていまして、本作は前編となります。

 ガンダムのナレーションでお馴染みの「人類の約半数を死に至らしめた」と語られたブリティッシュ作戦。宇宙空間での居住地であるスペースコロニーを地球に落としてしまうという無茶苦茶な作戦。ジオン公国に敵対したサイド2の8バンチコロニー アイランド・イフィッシュ。ランバ・ラルの部隊が先行して攻め込むも、敵の戦力はわずか。作戦は成功するも、一方的なやり口に嫌気がさしたラルはこの作戦から降りることに。その後、別の部隊により、コロニーに核パルスエンジンを装着。コロニー内に毒ガスを散布。このコロニーを地球連邦軍の基地がある南米ジャブローに向けて投下するのでした。言葉で説明すると簡単で、これまでのガンダムシリーズでも何度も描写されてきたコロニー落とし。常軌を逸した悪行ではありますが、当たり前の様に見慣れた光景に。しかし、本作ではこのコロニー内でのエピソードが挿入されています。ジオンに抵抗する民兵のユウキと、その恋人ファン・リー。ことが大事過ぎて、大惨事にも拘らず実感が湧かないコロニー落としの惨劇を、ミニマムな視点に落とし込むことで、実感を湧かせるという。よくある演出ですが、観ていて辛い気持ちに。その演出にまんまと引っかかりました。

 『機動戦士ガンダム』はブライト・ノアの物語との解釈から、ブライト・サーガと呼ばれることがありますが、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の場合は、ランバラル・サーガと呼べるのでは。ブリティッシュ作戦で「悪魔の所業だ!」とドズルの命令に背いて2階級降格。中佐から大尉に。己の信念に基づいて行動する姿は1作目から変わらず。愛人であるハモンとの関係性がこれまで描かれてきましたが、それは本作でも。予備役兵となりハモンの店でいつもの様に酒を浴びるラル。そこにはかつての部下達が。ルウム戦役に出陣する皆を見送るのでした。その後、諜報員となったタチが登場。酔いつぶれたラルに変わりハモンが話を聞くと、キシリア配下の者がここにやってくるとのこと。話の最中に早くもその者たちが。ラルが連行されそうになるもハモンの一喝により、あっけなく退散。そして、ハモンは気持ちを晴らすかのようにピアノの弾き語りを始めたのでした。この場面、演出として回想シーンを入れることが多いと思うのですが、そういうことは全くせず、弾き語りをするハモンをそのまま映し、タチがグラスにウイスキーを注ぐなど、回想シーンそのものを挿入せず、視聴者側が勝手に回想する間があるのが良かったなと。ラルとハモンの行く末を知っているだけに、勝手に心に染みるシーンとなりました。

 上映後、丸の内ピカデリーでの舞台挨拶の模様をライブビューイングで鑑賞。登壇されたのは、シャア役池田秀一さん、ギレン役銀河万丈さん、アムロ役古谷徹さん、カイ役古川登志夫さん、そして、安彦良和総監督の5名。司会進行は、『THE ORIGIN』のイベントではお馴染みの森雄一さん。ベテラン揃いの渋いキャスティング。池田さんは赤色ではなく、何故だか百式カラーの黄色いシャツ。皆さんで『生き残り』と称されていましたが、38年も前の作品のオリジナルキャスト、スタッフが集結するとは凄いもの。ライブビューイングをされるのも納得。当時、安彦総監督はアフレコ現場に足を運んでいなかったそうで、銀河さんについては本作で初対面だったそうです。その際に「まんまじゃねえか!」と思われたそうですが、確かにそのままギレン役でもおかしくない凛々しい顔立ちの方なのです。本作では、アムロとカイが少しだけ登場していたこともあって、古谷さんは『脇役のアムロ』と自己紹介。主役を演じたいと、『ルウム編』以降の展開に期待されていました。それに対し池田さんは、もう1作主役をやらせてくださいと古谷さんにお断わりを。古川さんについては、ガンダムは自身の代表作であると話されていたのが印象的でした。

 フォトセッションを挟み、最後には銀河さんによる演説付きの「ジーク・ジオン!」の掛け声で締め。スピーカー越しでも分かる音圧と、硬質かつ気高い声にはしびれました。皆さんが降壇された後、スクリーンに映し出されたのは満員御礼の画像。撮影しても良いとのことでしたので撮影しましたが、この4人が並び立つ姿に違和感が。次回作は2018年5月公開とのこと。本作の最後が、シャアが連邦艦隊に突撃するシーンで終わってしまいましたので、その続きと、さらにその続きを楽しみにしたいと思います。

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