輝きが向こう側へ!

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【ネタバレ・感想】かつて聴いていたラジオドラマにまた出会えたような感覚『きみの声をとどけたい』

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タイトル:きみの声をとどけたい
制作会社:マッドハウス
監督:伊藤尚往 脚本:石川学
キャラクターデザイン:青木俊直 音楽:松田彬人
キャスト:行合なぎさ/片平美那、矢沢紫音/三森すずこ、他
配給:東北新社 公開日:2017年8月25日 上映時間:94分

海辺の町、日ノ坂町。この町に暮らす行合なぎさ(声:片平美那)は、将来の夢が見つからず、少し焦っている16才の少女。“言葉にはタマシイが宿っているんだよ、コトダマって言ってね……”。ある出来事がきっかけで、小さい頃に祖母から聞いたコトダマの話を、なぎさは信じていた。そんなある日、何年も使われていないミニFMステーションに迷い込んだなぎさは、ちょっとした出来心からDJの真似事をする。すると、偶然放送されたその言葉は、思いもかけない人に届いていた……。

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 NHK-FMの青春アドベンチャーのラジオドラマをそのままアニメにした様な、ど直球で手堅い青春物語。昔、ふと聴いたラジオドラマ。世間的には全く知られていないのだけれども、個人的にとても大好きで今でも記憶に残っている、そんなノスタルジーを感じさせる絶妙な出来。『ラジオ』を題材にしているのもまた、昔を思い出されます。少女達が、ラジオ番組のいろはを全く知らない中で、手探りでラジオの形を作っていく過程を見るにつけ、ラジオ視聴者にとっては、ラジオ番組ってこういうものだよねと感じられるのが面白いポイントでは。言葉には力が宿るという『言霊』が物語のキーに。この言霊についてはファンタジックな演出で表現されていますが、基本的には現実的な現代劇です。舞台である湘南の町並みが丁寧に描写。坂道があり、商店街に江ノ電が走り、江ノ島から望む海が広がる。登場人物たちが行き交う風景を見るだけでも楽しめる作りでした。

 レコードであったりラジオカセットといった懐かしのアイテムが登場。しかしこれらを普通に扱えてしまう高校2年生の少女達。聞きかじった知識があることを前提に使えていたのですが、尺の関係でそうしたのでしょうか。自分の世代でもレコードプレイヤーを使ったことが数回しかなく、うまく再生できる自信はありません。知らないものとして、1回失敗させてみたほうが、観る側の共感を得られたのかなと思ったり。これは知ってる人・知らない人両方にとって、フックになる演出が挟めたのではないかなと、勿体無さを感じたのでした。

 この作品ではキャストオーディションが大々的に行われ、そこで選ばれた6人の新人声優の方々が、この物語に登場する少女7人のうち6人を担当されています。確かにまだ不慣れな感じはあるのですが、元々素養があるのか、それともレッスンで上達したのか、新人達の演技で台無し、なんてことにはなっておらず、物語を楽しむことができました。今後の活躍に期待したいところです。主役の娘の演技・声が某サーバルちゃんに似ていて、尾崎さんが主役だっけと勘違い。それはともかくとして、まっすぐな声が役に合っていたなと感じました。

 上映終了後に拍手が。その後、舞台挨拶が行われましたのでその時の模様を。司会の方に続き、主要キャストを務めた声優ユニット『NOW ON AIR』の6人が登壇。正直なところ、ユニット名と大々的にオーディションが行われていたことぐらいしか知らず、初めは、誰が誰役なのだか判断がつかない状況でした。自己紹介の際に役名を聞き、ようやく理解。舞台挨拶恒例の何回見たかのアンケート。拍手での回答。自分の様に初見の方もいれば、何回も観られている方も。舞台挨拶を一緒に回られている方もいるのでしょうね。舞台挨拶の内容としては、好きなキャラクターやシーンについて語られました。好きなキャラクターでは土橋雫が大人気。その後、舞台挨拶だけには留まらず、挿入歌『Wishes Come True』の披露も。映画を観たあとすぐに生歌が聴けるとはうれしいかぎり。それぞれ、おそらくイメージカラーなのであろう色の歌詞カードを持たれていたのですが、確認程度であまり見ていなかった様子。基本的には前を向いて歌われていました。生歌でありながらしっかりした合唱。観客に伝えようとする意識は、浜須賀夕役の飯野美紗子さんが一番高かったように見えました。


 つくづく思うことは、『NOW ON AIR』の皆さんの本格的なデビュー作がこの作品で本当に良かったなということ。興行的にはどうなのか分かりかねますが、この作品を観たことで清清しい気持ちになり、さらには彼女らを応援したくなる時点でプロジェクトとして大成功なんじゃないかと思いました。このプロジェクトは第2段も行われるそうで、次回作が今から楽しみです。

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