輝きが向こう側へ!

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【ネタバレ・感想】ジェネリックジブリと言われてしまう所以、本質は『メアリと魔女の花』

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タイトル:メアリと魔女の花
制作会社:スタジオポノック
原作:メアリー・スチュアート
監督:米林宏昌 脚本:米林宏昌、坂口理子
作画監督:稲村武志 音楽:村松崇継
キャスト:メアリ/杉咲花、ピーター/神木隆之介、他
配給:東宝 公開日:2017年7月8日 上映時間:102分

メアリと魔女の花 ブルーレイ(デジタルコピー付き) [Blu-ray]

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明朗で快活、天真爛漫だが、不器用で毎日に不満を抱えている赤毛にそばかすの少女メアリ(声:杉咲花)。ある日、赤い館村に引っ越してきたメアリは、森で7年に一度しか咲かない不思議な花《夜間飛行》を見つける。それはかつて、魔女の国から盗み出された禁断の“魔女の花”だった。一夜限りの不思議な力を手に入れたメアリは、雲海にそびえ立つ魔法世界の最高学“エンドア大学”への入学を許可される。しかし、メアリがついたたったひとつの嘘が、やがて大切な人を巻き込んだ大事件を引き起こしていく……。メアリは、魔女の国から逃れるため「呪文の神髄」を手に入れ、すべての魔法を終わらせようとするが、そのときメアリはすべての力を失ってしまうのだった。次第に明らかになる“魔女の花”の正体。メアリに残されたのは、一本のホウキと小さな約束。魔法渦巻く世の中で、ひとりの無力な人間・メアリが、暗闇の先に見出した希望とは何だったのか……。

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 スタジオジブリが2014年に制作部門を解散。その受け皿となったのか、制作部門のほどんどがスタジオポノックへ。そして、その製作スタッフで作られたのがこの『メアリと魔女の花』です。監督は『借りぐらしのアリエッティ』『思い出のマーニー』の米林宏昌さん。キャラクターデザインからしてジブリを彷彿とさせるものですが、新会社の作品です。製作スタッフそのものはジブリ時代とあまり変わりませんので、ジブリの新作として観てもなんら違和感がないものと思われます。ジブリ的なものをあえて制作した感があったので、新鮮味がなく、あまり興味がそそられなかったのですが、『ジェネリックジブリ』と気になるワードで評されていたので、どの様な出来なのかと確かめる為に観てみました。

 かつて、高畑勲監督や宮崎駿監督がスタッフとして名を連ねていた『世界名作劇場』的日常が序盤で描かれていました。『世界名作劇場』では、昔の人が海外ドラマを観て、その生活に憧れるような描き方がされていたと思うのですが、そういった感想が一向に湧いてこず、ただただ日常を見せられている感があって、正直盛り上がりに欠けました。高畑監督作品である『赤毛のアン』は日常生活を描いた作品の中でも群を抜いて面白いものであったので、『赤毛のメアリ』は、脚色が弱かった、いや、弱すぎたのではないでしょうか。主役を演じた杉咲花さんに関しては、アニメの演技となると力を活かせなくなる方がいる中で、表現力の高さを発揮されていましたし、さらには将来性の高さを感じられました。脚色次第でメアリをもっと魅力的に描けていたかと思うと残念。

 そんな序盤の展開に、眠たいままで終わってしまうのかと思いきや、終盤でようやく話が動き出し、作画リソースがここで使われたこともあってアニメーションとしての見どころもあり、盛り返しを見せてくれました。このままの状態で終わってしまうのかとヒヤヒヤしていたのですが、注力のしどころが局部的になったのは製作期間の問題なのでしょうか。最後のスタッフロールで感謝されていた3人にアドバイスを受けていれば変わっていたのでしょうかね?(※製作期間が際限無く延びてしまう)

 後半の盛り上がりを引き立てる為の序盤の種蒔きが出来ていないのが非常に勿体無く感じました。特に、メアリとピーターの関わりの希薄さに違和感が。序盤で大して関係性が感じられないままで、命がけのやりとりをしあう仲になるというのが、どうしても感情移入しづらかったのでした。序盤での2人の描き方次第で大きく変わっていた事でしょう。前作の『思い出のマーニー』でも感じられたのですが、登場人物達の関係性の希薄さは一体どうしたものなのか。それゆえに、映画として熱く伝わってくるものがない。だからこそ、作品として薄味に感じられてしまう。(後年の宮崎作品特有の説教臭さがないのは良いのですが…)『ジェネリックジブリ』と言われてしまう所以、本質はそこなのかもしれません。

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