輝きが向こう側へ!

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【ネタバレ・感想】色を排除した古典的アニメーション作品『レッドタートル ある島の物語』

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 あのスタジオジブリがオランダ出身のアニメ作家、マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィットに2006年にオファーをして、ようやく完成した本作。(製作期間は8年とのこと)第69回カンヌ国際映画祭にて『ある視点部門』特別賞を受賞。『ある視点』という言葉に対して、ある視点では興味深い感じなのかなと、そのある視点に若干不安を感じつつも観てみることにしました。



タイトル:レッドタートル ある島の物語
原作・監督:マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット
脚本:マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット、パスカル・フェラン
音楽:ローラン・ペレズ・デル・マール
配給:東宝
公開日:2016年9月17日
上映時間:1時間21分

レッドタートル ある島の物語/マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット作品集 [Blu-ray]

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嵐の中、荒れ狂う海に放り出された男が、九死に一生を得てある無人島に辿り着く。必死に島からの脱出を試みるものの、見えない力によって何度も島に引き戻されてしまう。絶望的な状況に置かれた男の前にある日、1人の女が現れる……。

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色を排除した古典的アニメーション作品


 一般的なアニメの様な誇張された動きではなく、人や動物の動きを忠実に再現。キャラクターデザインはシンプルで、目が点ですから、表情よりも所作を大切にされていました。この作品に台詞は一切ありません。感情表現それぞれを再現した絵の動き、その一点を集中して見て欲しいということなのでしょうか。日本のアニメの特徴である、なるべく動きを排除して省力化し、見せ方の工夫で劇を作るそれとは逆を行く作り。絵が動くという基本的かつ古典的な作りのアニメでした。シンプルな作りですから情報量が少なく、受動的な方には退屈で、能動的な方は作者の意図しないところまで感じ取ってしまう、色を排除した内容。人によって両極端な評価となりそうです。自分個人としての評価は中間かなと。映画館の音響で観るのも迫力があって良いのですが、NHK教育辺りで深夜に流れているのをボケーと観初めて、何だか凄いの観てしまったなと思いながら寝床につくには丁度良い感じでした。(どういう感じだ)



まさかの超絶展開に呆気にとられる


 レッドタートルというタイトルから想像して、赤い亀が無人島の脱出を助けてくれる話かと単純に考えていたのですが違いました。むしろ逆で、赤い亀が脱出を邪魔してきて、その腹いせに主人公の男が亀をボコボコにして殺してしまうという展開に。さらには、その亀が何故だか女として蘇るという超絶展開。亀が女になったシーンでは、甲羅をまとった状態でしたので大変シュールな映像になっていました。これには誰か突っ込んだ方がいいのではないかと思ってしまったのでした。



ジブリブランドで多数の映画館で公開されることの意義


 元々短編作家だからなのか、話はそれぞれ繋がっているものの、短編を繋ぎあわせた様な印象を受けました。その短編ごとに、主人公の男にどういったアクションを行わせるのかを決めて作っていった感がありました。物語の冒頭、無人島に漂流した男が、船を作って島から脱出しようとするまでの中でも、いくつかのアクションがありまして、この動きをアニメ化したいから物語に組み込む感じが、アニメを作る人間の本質を見た気がしました。日本のアニメには見られないものであります。あえていうなら、クレイアニメにはまだそれが見られるのですが、売れるアニメを作らなければいけない中、こういった古典的発想のアニメは希少であり、ジブリブランドで多数の映画館で公開されたということの意義は、アニメ作品の選択肢を広げる上で、大きいのではないかと思いました。




3つの要素から3つのゲームタイトルが思い出されたゲーム脳


 言語を話さない。無人島からの脱出。神様視点で見守る。『ICO』、『サバイバルキッズ』、『シーマン2』といったゲームタイトルを思い出してしまいました。それぞれのゲームをプレイされた方には分かって貰えると思うのですが、それぞれのゲームの要素がこの作品にありまして、特に『シーマン2』の要素が強く感じられました。『シーマン』といいますと、話す魚のイメージが強いのですが、その続編である『シーマン2』は、北京原人を育てるという前作同様異色のゲーム。このゲームそのものに似ている訳ではないのですが、どういったことをするのかと観察する感覚が似ている気がしました。さらには思想についても似通っているところもありますので、興味のある方はこのゲームをプレイしてみて、いやオススメはできないです…。


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