輝きが向こう側へ!

読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

輝きが向こう側へ!

思いついたことをそのまま記事にしている何の脈略もないブログです。アニメやゲームの感想等を掲載。

【ネタバレ・感想】1度は是非観てもらいたい『聲の形』

レビュー

 『たまこラブストーリー』から早2年。山田尚子監督最新作『聲の形(こえのかたち)』。原作を読んでいないのですが、予告映像のみを観て、舞台挨拶付上映で鑑賞。難聴の女の子がいじめられるところから話が始まる、とても辛辣な内容とのことで、期待よりも不安の方が大きかったのですが、実際に観た感想をまとめていきたいと思います。



タイトル:聲の形
監督:山田尚子 脚本:吉田玲子
キャラクターデザイン・総作画監督西谷太志
音楽:牛尾憲輔
キャスト:石田将也/入野自由、西宮硝子/早見沙織 他
配給:松竹 公開日:2016年9月17日 上映時間:2時間9分

 

退屈を何よりも嫌うガキ大将の小学生・石田将也は、転校してきた西宮硝子に無邪気に好奇心を抱く。彼女が来たことで退屈から解放されるが、硝子とのある出来事をきっかけに周囲から孤立してしまう。それから五年が経ち、二人はそれぞれ別の場所で高校生になっていた。あの出来事から殻に閉じこもっていた将也は、硝子の元を訪れる。

MovieWalker

 



■原作コミック全7巻の内容を2時間9分に凝縮

 上映時間は2時間9分と長尺。原作コミック全7巻の内容を再構成して1つのまとめたものですので、原作を知っている方にとってはこの長尺でも物足りないという想いを持つ方がいるのかもしれません。しかし、この手の話をTVシリーズ化したとしても、序盤のいじめシーンや、学校の受入体制のなっていない有様を、続けて観ていられた自信がありません。この尺に収めて正解であったのではないかと、初見であった自分は思いました。2時間9分ともなると、観ている間に長いなという感想を持ちがちですが、そんなことはなく最後まで観ることができました。進展しそうで進展していかない交友関係の落としどころをどうするのかと気にしながら、ラストシーンに辿り着いた感じでした。

 原作でもそうだったのか読んでいないので分からないのですが、顔にバツ印を付けるという演出。剥がれたり、元に戻ったりと、関係性を表す演出として本編中に用いられていました。無くても関係性は分かるのですが、ラストシーンの為に撒いていた演出なのだと観終わって納得。



■メインキャストの演技について

 早見沙織さんが耳が聞こえない女の子を熱演。収録前、事前に勉強されていた為か、ディレクションが良かったのか難聴者の発声がとてもリアル。これが脚本通りなのか、脚本自体は言っていることをそのまま記載しているのかは分かりませんが、正直言いましてほとんど聞き取れませんでした。1シーンだけだったか、演出上の都合か聞き取りやすい言葉でしゃべられた際に、「あっ、早見さんだ」と改めて気付かされたのでした。

 将也の小学生時代の声を女優の松岡茉優さんが担当。山田監督が彼女が演じた役で大好きな役があったからということでのキャスティングだそうです。演技自体はうまく、細やかな感情表現されていたのですが、個人的な意見としては声が合っていなかったかなという印象が。いや、これは合っていなかったのではなくて、周りが本職の声優さんばかりなので浮いてしまったので、そういった印象になってしまったのかもしれません。



■ラブストーリーかと思いきや、贖罪の物語

 お話しとしては、結局のところラブストーリーに落ち着くのかなと思いきや、贖罪の話。罪を犯せばその報いを受けることになる。許されるにはその罪を贖う必要がある。これが本作のメインテーマ。このメインテーマとは、人が生きていく上で誰しも通ってきた道であり、共感する事も多々あるかと思います。共感と言っても、後味の悪い共感が多いので、観ていて辛い面ではあり、人によっては拒否反応があるかもしれません。あえてそこを描いているところに、この作品の価値があるのだろうなとも思いました。もっとうまく生きられるだろうと思う場面が多いものの、そううまくはいかないのもまた人生。登場キャラクターそれぞれに、良い面、悪い面が如実に表現されています。その中の誰に共感するのか。この作品は、人の心映し鏡になるのでは。




■おまけ(MOVIX京都上映後舞台挨拶)


 山田尚子監督、早見沙織さん、金子有希さん、石川由依さんが、中央左手入口より入場してから登壇。ステージ前の曲道で詰まってしまい、山田監督と早見さんが軽く衝突。ここでちょっとした談笑が。この様子を見て、キャストの皆さんと馴染んでいるなと感じました。

 さて、舞台挨拶の内容についてですが、早見さんからアフレコ現場の雰囲気の話について語られました。和やかな雰囲気であったこと。メロンとスイカが現場にあって夏を感じたということ。そして、早見さんのアフレコについては別撮りにする案があったということ。これには、早見さんは役の難しさから、別撮りにしても構わないのかなと感じました。しかし、2日間のアフレコ作業でメインキャストが集まれたという事でしたので、早見さんとしては芝居の流れを重要視されたのでしょう。山田監督からは、早見さんが役柄に合わせてか、話を聴かない(聴こえない)様にされていたというエピソードが併せて語られました。

 金子さんからは、監督からオーディション当時の青い演技を要求されたという話が。アフレコ当日はその感じが薄れていたようです。「青さ」を出すといってもなかなか難しい話だと思いますが、それが結果として出来上がった作品に表れていたのではないでしょうか。金子さんの新たな魅力が感じられました。アフレコ終了後に、硝子と直花が一緒に観覧車に乗るシーンの撮り直しをお願いしたという熱い話も伺えました。

 石川さんからは、音のこだわりについての話が。橋の上での将也が手すりに手をつく音(振動)で、硝子が将也がいることに気付くシーンが挙げられました。硝子が音が聴こえないからこそ、こういった音の演出が重要になってくる訳で、この点はもう1度観直す機会があるのでしたら集中して聴いてみたいと思いました。

 山田監督からは、オープニングで使用された曲、The Whoの『マイ・ジェネレーション』について。「Teh Whoを知っていますか?」と監督が客席に問いかけられたところ、少数の方が知っていた様子。50年以上も前の曲。この曲に合わせて将也が小学生の頃の様子をPV仕立てにしたオープニングアニメーションには、『たまこマーケット』の時の様な監督の趣味が反映された内容だなと感じました。本編そのものの印象からはかけ離れた選曲ではありましたが、本編序盤の陰湿さとのバランス取りで、軽快なオープニングにしたという意図があるのでしたら、これはこれで有りだったのではないでしょうか。監督の趣味といえば、『女の子の足』。それについてはかなり我慢?されていたようで、本編中ではそれほどフェチに走らず。その分、10月より放送が開始される『響け♪ユーフォニアム2』で爆発されるつもりなのかもしれません。

 全てのエピソードは入れられないにしても、全てのエッセンスは入れたという本作。最後に監督から何度も観て欲しいとの話がありましたが、あの世界観に浸りたいなと思えるような作品であればそう思うのですが、二度と戻りたくない暗い過去を観に行く様なものですので、厳しいものがあるかと…。ただ、改めて観直してみることで、演出の意図や、それこそ音のこだわりがさらに見えてくるのではないかと思いますので、心強き方はチャレンジしてみては。個人的には、2度は観なくてもよいけれども、1度は是非観てもらいたい作品。その1度を大切に、集中して観て頂ければと思います。


f:id:huurai0:20160919203124j:plain f:id:huurai0:20160922015712j:plain


 MOVIX京都の前に展示されていた山田監督サイン入りポスターを撮影したので掲載。入場の際に来場者特典として、原作者描き下ろしの番外編漫画を貰いましたので翌日読んでみました。硝子の母親視点の過去のお話。原作を読んでいなかったので分からなかった面、何故硝子を普通の小学校に入れたのか。その母親の考えが知れる内容でした。さらには、ただただ厳しい人かと思いきや、ただのツンデレさんだったということも分かってしまうのでした。