輝きが向こう側へ!

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輝きが向こう側へ!

思いついたことをそのまま記事にしている何の脈略もないブログです。アニメやゲームの感想等を掲載。

【ネタバレ・感想】日本的な社会に「強さ」を感じさせてくれる珍しい作品『シン・ゴジラ』

映画レビュー レビュー シン・ゴジラ

タイトル:シン・ゴジラ
総監督・脚本:庵野秀明 
監督・特技監督樋口真嗣 音楽:鷺巣詩郎
キャスト:矢口蘭堂/長谷川博己、赤坂秀樹/竹之内豊、
     カヨコ・アン・パタースン/石原さとみ 他
配給:東宝 公開日:2016年7月28日 上映時間:2時間

 

日本の怪獣映画史に名を残す“ゴジラ”が、「新世紀エヴァンゲリオン」の庵野秀明が総監督、『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』の樋口真嗣が監督を務め、シリーズ初のフルCGで復活。巨大怪獣の出現で未曽有の危機にさらされた人々の物語が描かれる。長谷川博己竹野内豊石原さとみをはじめ、総勢328名のキャストが出演。現代の日本に巨大怪獣ゴジラが出現。パニックに陥る者、立ち向かう者。大いなる脅威に直面した人々の行方は……。 MovieWalker

 

 この間観た映画『ズートピア』本編放映前に『シン・ゴジラ』の予告編が流れていました。今回のゴジラは、『ふしぎの海のナディア』や『新世紀エヴァンゲリオン』を手がけた庵野監督の作品だとは知っていたのですが、実際に映像を観たのはここが初めて。どういったアプローチで新しいゴジラを作られたのかと予告編を観てみましたが、現代日本を舞台に、現実としてゴジラが東京に出現したらどう国が対処するのかを描いた作品なんだろうなというところまでは理解しました。タイトルに『シン(新・真?)』と付くぐらいなのですから、これまでのものとは違うものが観れるのではないかと公開初日に2D版で鑑賞。4DX版もあるのですが、『ズートピア』の際に4DXは「映画を楽しむ」のではなく、「映画で楽しむ」ものだと学びましたので、まずは2D版で。



■日本的な社会に「強さ」を感じさせてくれる珍しい作品

 この作品のキャッチコピーが『ニッポンVSゴジラ』。首脳官邸での閣僚会議、対策本部の設置、首相または官房長官による記者会見等々、有事に日本政府がどういった動きを見せるのかが現実的に描かれていました。これまでのゴジラにあったプロレス的なエンターテイメント(ゴジラVSキングギドラ等)とは別物で、災害シミュレーションかつ、ドキュメンタリータッチの作り。一応メインキャストは決まっているのですが、日本政府に関わる人間たちがこれでもかと登場。登場人物が多いことで、個ではなく組織に焦点が置かれています。登場人物それぞれにドラマがあまり見られないので自分としては感情移入ができず、ストーリーにのめり込めなかったのは残念でしたが、組織のあり様、誰かがいなくなってても平然と代わりが入る仕組み。他の作品ではバカにされてしまう、そんな日本的な社会に「強さ」を感じさせてくれる、いまどき珍しい作品でありました。


■悪人が登場しないシンプルなストーリー構成

 内閣危機管理監役の渡辺哲さん。内閣総理大臣役の大杉連さん。ここ最近観た映画に出演されていたのでそのイメージが脳裏に。『パトレイバー』に出演されていた渡辺さんはダメダメな警視庁警備部部長。『仮面ライダー1号』に出演されていた大杉さんは地獄大使。あのやぼったい被り物が脳裏に浮かび、ちと吹きそうになったり。まあ、そんなことはどうでもよいのですが、数多くの登場人物がいる中で、悪い人・嫌な人が1人もいない点が、映画を観終わった後に思い返していて気付きました。これは、ゴジラ撃退に対して障害となる人間がいないということです。石原さとみさんが演じる役がトリックスターにでもなるのかなと思いきや、そういうことはなく単純に味方の立場でした。物語を盛り上げる方法としてトリックスターがいたほうがよいと思うのですが、あくまで『ニッポンVSゴジラ』。数多くの協力者と力を結集してゴジラに挑む。この1対1のシンプルな構図を崩したくなかったのかもしれません。


■着ぐるみで特撮でなくともゴジラゴジラ

 フルCGアニメーションゴジラ。かなりグロテクスな風貌。序盤に登場した進化する前の姿はこれまでのゴジラとは別物で、生々しくも気持ち悪いものでした。「着ぐるみで特撮だからこそのゴジラだ!」という方もいるのでしょうが、CGだからこその表現ができていたと感じました。CGで再現された、自衛隊車両・航空機による爆撃、無人爆弾としてゴジラに激突する新幹線・山手線車両群。そして、特殊車両。完全に監督の趣味じゃないの?と思ってしまったのですが、この手のものが好みの方にはたまらないのでは。個人的には滑走する戦車の上に乗ったり、動力ポンプの連結や操作をした経験があるので、なんだか身近な感じがしました。


■過去の作品へのリスペクト。作中で聴かれたゴジラのテーマ

 音楽担当はエヴァンゲリオンと同じく鷺巣詩郎さん。ゴジラの音楽担当といえば伊福部昭さんですが、過去のゴジラのテーマがいくつか使用されていました。それが分かるオールドファンにとってはうれしい曲の使われ方だったのではないでしょうか。あと、エヴァンゲリオンの曲である『DECISIVE BATTLE』が何度か使用されていました。TVドラマ『踊る大捜査線』でもアレンジされたものが使用されていたあの曲です。実写でこの曲がかかると、どうにも『踊る』のイメージが。サンバディトゥナイしちゃう感じがするものの、この作品は、現場ではなく会議室の中でのお話なのでした。


■自分にそれほど引っかからなかった答えを探してみた

 ネットでの感想を見てみましたら大好評の様子。しかしながら、自分にはそれほど引っかからず、面白くないということではないのですが、その更に上に行かなかったのでした。これは何故なのだろうかと帰りに自問。観る前から勝手に熱い展開を期待したものの、机上の論理をゴジラにぶつけた感じがして綺麗にまとめ過ぎた印象がありました。もっと泥臭さが欲しかったのかもしれません。しかしそれはエンタメ作品に求めること。今回のゴジラはドキュメンタリー的な作りでしたので、そういった感想を持ってしまったのだと答えを導き出しました。あえて監督がドキュメンタリー的にしていたところに面白みや感動を見出していれば評価は一転していたのだろうなと思うのでした。これはもう1度見てみたほうが良いのかもしれません。次は4DX版?



■おまけ(4DX版の感想)

 後日、4DX版を観てみましたのでその感想を。4DXで観たのはディズニー映画『ズートピア』に続いて2回目。『ズートピア』がエンターテイメント性溢れる作品でして、4DXとの親和性が高く、エアー・座席の振動・水しぶき・匂いといった4DXならではの演出が映像と連動していて面白みを感じたのですが、『シン・ゴジラ』については、元々4DXを想定して作られたわけではないのか、状況を再現するに留まっているように感じました。ゴジラの暴れっぷりや、自衛隊の兵器による攻撃を体感するには良いと思いますし、『シン・ゴジラ』が4DX初体験であれば純粋に楽しめたのかもしれません。個人的な感想としては、劇場の大スクリーンの迫力であったり、サウンドシステムが想像力を掻き立ててくれると思いますので、この作品は通常版でじっくり観た方が合っているように思いました。

 最初に『DECISIVE BATTLE』が流れた際に、座椅子の振動でリズムを刻んだ時には「そういう使い方をするのか!?」と思ったと同時に、会議室の場面が多い本編の中でどうにか4DXの演出を取り入れたという作り手側の苦労を感じたのでした。